2012年9月24日月曜日

[紹介] 齋藤孝『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』

齋藤孝『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』
齋藤孝の知的インプットメソッドの総決算。感覚や身体性を重視する著者の読書法のポイントは「どれだけその本に関与するか」。3色ボールペンで書き込みしまくり、目だけでなく手も動員するのも「関与」が大事だから。(crossreview

 人間を分類する方法には色々あります(極端なのになると人類を「群れた羊とワル」に二分するようなのもあります)が、物事を認識するときに大きく分けて客観的か主観的か、という区別があるように考えています。

 客観的というのは具体的と言い換えてもいいのですが、物事に即して「そういうもんだ」と理解するタイプです。客観的というといかにも賢そうですが、どちらかというと身もフタも無いままゴロンと受け取る人で、あまりひねりがないタイプでもあります。
 これに対して主観的というのは、自分(の感情の動き)と関連させて物事を認識するタイプです。例えば、手書きや朗読など自分の身体性に重きを置いた方法が最近見直されていますが、自分の身体を使うことで自分と物事を関連づけるこの方法は、主観的なタイプの人の方がより効果を上げると思います。

 読むときは本にガンガン書き込む。目だけでなく手を動かし、マーキングすることで自分から積極的に関与していく。そうやって「自分をくぐらせる」(24頁のU字型の図がまさにそれ)ことを大事にする著者は、言うまでもなく主観的なタイプです。(この点、身体論の研究者でもある著者らしいと言うことができるのかもしれません)
 本書のメソッドは、そういう主観的なタイプの人によりマッチしたメソッドである、というのを前提に、使えそうなものを試すのが良いと思います。

 著者の知的生産術のインプット編としては本書が総決算だと思います。本の読み方や内容のまとめ方(3つにまとめろ、など)に関してはこれ以上あれこれメソッドを仕入れても無駄だと思います。
 そして、アウトプット編としては、本書の一部内容をふくらませプラスアルファした『大事なことは3つにまとめなさい!』があり、ノート術を中心としたアウトプットのメソッドがたくさん紹介されています。
 著者はやたら本を出していますが、こと知的生産術に関してはこの二冊で十分だと思います。