「南キャンの山里」になるまでの自伝。読んでると某芸人の「昔、宮川大助は花子が漫才でミスすると舞台降りたらどついてた。あれ見たら漫才笑えんようなるで」といってたセリフを思い出す。ちょ、赤裸々過ぎでしょw(crossreview)
南海キャンディーズの山ちゃんの半生記。芸人の間で「山里は性格が腐ってる」と茶化されたりしているが、その山ちゃんが赤裸々に全てを語った本です。
宮川大助・花子の漫才は、花子さんが大助さんをボロカスに言ってて、力関係は完全に花子さんが上という印象があると思います。
しかし、宮川大助・花子の漫才は完全に大助さん主導なんだそうです。今はさすがにないでしょうが、かつては大助さんが花子さんに「鉄拳指導」していたそう、それを目撃した某芸人さんが「舞台裏で花子さんが大助さんにどつかれてるの見てもうたら、もうあの漫才見ても笑われへんで…」と言ってたことがありました。
この本を読んだとき、ちょうどこれと同じ感覚を抱きました。
元相方に対する「仕打ち」のところなど、今の山ちゃんが当時の自分の最低さを冷静に分析しつつ淡々と描写していて、当時の山ちゃんの性格の悪いところば嫌と言うほど伝わってきました。若い頃の鬱屈や天狗になっていた頃の自分の心情なども、今の目線から分析的に振り返られていて「もうやめて!山里のライフはゼロよ!」という感じです。思わず「ここまで書いちゃって大丈夫なのか?」と心配になりました。
芸人としての山ちゃんは十分天才の部類に入ると思います。私は、彼がコメントの返しでピントの外れたことを言ってるのを見たことがありません。(逆に、百発百中で上手い返しをしているから笑いの抑揚がなくなって感じられたり、あるいは鼻につくように感じられちゃうのかも? 少し外したことを言うくらいでちょうど良いんじゃないだろうか…と余計な心配をしてしまいます)
個人的にはそれくらい評価している芸人さんなので、この本によって笑えない空気が出来てしまったらどうするんだろう…と思うのですが、よくよく考えたら、本当に性格の悪い芸人ならこういうことは墓まで持っていくはずです。
この辺の損得勘定抜きの部分が、(性格的には腐ってるのかもしれませんが)山ちゃんが世間に受け入れられている部分なのかもしれません。
読み応えはあったし面白かったんですが、誰にオススメしていいのやら、その点ちょっと困る本です(笑)。