2012年11月30日金曜日

[紹介] 井沢元彦『なぜ日本人は、最悪の事態を想定できないのか――新・言霊論』

井沢元彦『なぜ日本人は、最悪の事態を想定できないのか――新・言霊論』
著者の評論デビュー作『言霊』の2012年版&ダイジェスト版。日本人の価値観に強力に根付く言霊思想。これを認識・自覚しないと、危機に対して無視という態度を取りがちな我々日本人の思考バイアスは修正できない。(crossreview

2012年11月28日水曜日

[紹介] 加藤秀治郎『日本の選挙』

衆議院選挙前に読んでおきたい一冊。民主主義や政治についてちゃんと考えるなら、本書で選挙制度の根幹を押さえるべき。日本の選挙制度が、目的も性質も全く異なる制度をデタラメに組み合わせた酷いものだとわかる!

 本書は選挙制度を扱った本です。政治のトピックとしては地味な印象をお感じになる方が多いのではないでしょうか。私自身そうでしたし、著者自身もドイツで選挙制度を本格的に研究するまではあまり興味が持てなかったそうです。

 が、本書を読んでいただければその印象は変わります。政治について、そして民主主義についてちゃんと考えようと思ったら、選挙制度についての理解は避けて通れません。これは、民主主義を考える上で税制の理解が必要であることと非常に似ています。両者とも一見地味ではありますが、民主政治という制度の根幹を支えるシステムを軽視していては、まともな政治議論なんてできない、ということです。

 第一章では、世界の選挙制度と対比したとき、日本の選挙制度が(良く言って)いかにユーモアか、悪く言えばいかにデタラメかが説明されています。
 例えば、我々は投票と言えば一人一票と無条件に考えてしまいます。が、世界的には大選挙区(複数人の当選者が出る選挙区)では当選者数分の投票権が与えられる方がスタンダードだったりします(完全連記制)。
 日本は「選挙制度のデパート」だそうですが、決して褒め言葉ではありません。目的も特性も効果も違う制度をごちゃ混ぜにして運用する奇々怪々な選挙制度が、日本の選挙制度です。

 第二章では、選挙制度というのが、その背後に民主主義の理想を想定して選択されるものであることが説明されます。
 よく「戦前の日本に民主主義はなかった」などという発言が見られますが、そういう世迷い言は本章を読んでからにしていただきたいものです。"民主主義がなかった"とされる戦前には、民本主義でおなじみ吉野作造が小選挙区制を、天皇機関説事件でおなじみ美濃部達吉が比例代表制を、それぞれ措定する民主主義観・政治制度を背負って論戦を繰り広げています。理念的には対極に位置する二人が合意していたのは、戦前戦後と続いてきた「中選挙区制」なる妥協のシステムは一番ダメだ、ということでした(美濃部は、政党政治を阻害する中選挙区制に反対するため、比例代表制が時期尚早だと思っていた当初は少数代表制を主張していたこともありました)。
 本書では他にミルやバジェット、シュンペーターやポパーの議論も紹介されています。これらを読んだとき、戦後日本の選挙制度についての議論がいかに退行したものに成り果てたかがわかります。

 選挙制度というのは大きく分けて、二大政党制を志向する「小選挙区制」と、少数からも代表が出せるが多党制になる「比例代表制」の二つになります。
 が、読み進めると話はそんなに単純ではありません。システムの細目をどう規定するかで選挙制度の性格は変わってきますし、国民が政党に対して密接だと比例代表制でも二大政党化する結果が出たりします(オーストリアなど)。
 システムをどう規定するかでどうとでもなるからこそ、選挙制度を通してどういう議会制民主主義体制を作るか、どういう政治システムを構築するか、その大目標が大事になってきます。そしてそれは、参議院をどうするか、地方の選挙制度とどう連動させるか、と憲法改正も含めた統治機構のグランドデザインへと話が発展します。「神は細部に宿り給う」とはよく言ったもので、選挙制度という一見地味なものを突き詰めて考えると、実はもの凄く深く壮大なものが見えてきます。

 あと、比例で復活当選が何かズルい、ゾンビみたい、というよくある疑問についても本書はサラッと答えてくれてたりして、とにかく気が抜けない本でした。

 2012年12月16日に衆議院の解散総選挙があるので、それまでに読んでおきたい一冊です。

2012年11月26日月曜日

[紹介] 松村卓『骨ストレッチ ダイエット 1日5分で痩せるクビれる背が伸びる!』

松村卓『骨ストレッチ ダイエット』

タイトルはダイエット本だが、アスリートの方に「本当の体幹トレーニング本」としてオススメしたい一冊。前著よりメニューも豊富。私自身著者のセミナーに2ヵ月通ってるが、体の使い方や身体意識が劇的に変わった!(crossreview

2012年11月25日日曜日

蟹座の宿命!やっぱりそういう扱いか… (聖闘士星矢Ω 第34話)

 闇の小宇宙を全開にする光牙にビビって尻餅をついた黄金聖闘士・シラーさんに、蟹座の扱いの全てが凝縮されていました…

《あらすじ》 第34話 生死の狭間!冥界の戦い!
巨蟹宮に入った光牙と龍峰の前にシラーが立ちふさがる。ユナが冥界の入口に飛ばされたと聞いたふたりは、シラーへ果敢に挑む。だが、圧倒的な実力差から苦戦を強いられ、積尸気冥界波で冥界の入口に落とされそうになってしまう。しかし、光牙の機転によりシラーも一緒に冥界波の影響を受け、戦いはユナのいる冥界の入口へと移る。自らも死の世界に来たことを怒るシラーは光牙を容赦なく攻め立てるが、その時、光牙に異変が起こった!
公式サイトより)

2012年11月23日金曜日

[紹介] 内田樹『街場の文体論』

内田樹『街場の文体論』
内田樹の最終講義にして総決算。「クリエイティブ・ライティング」という講義名からは少し外れるものの、そもそも文章を書くと言うことはどういうことかという根源にまで遡って論究した本。知的スリルに満ちた一冊!(crossreview

2012年11月21日水曜日

[紹介] 岩田温『逆説の政治哲学』

岩田温『逆説の政治哲学』
政治哲学に関する名著のフレーズを紹介しつつ、著者の解説・コメントが付された本。一節が短くコラムのようで読みやすい。また、発展的な読書のためにと紹介される参考文献が充実。保守思想の入門書としてもオススメ。(crossreview

2012年11月19日月曜日

[紹介] 仲正昌樹『知識だけあるバカになるな!』

仲正昌樹『知識だけあるバカになるな!』
人文学系に学問に興味を持った人を対象に「学問(人文学系)の思考法」を入門の入門から説明した本。地に足の付いたレベルから一番骨太な基礎を教えてくれている。下手な思考術系の本を読むくらいなら本書を読むべき。(crossreview

2012年11月18日日曜日

セブンセンシズに目覚めるついでにあの技まで…!(聖闘士星矢Ω 第33話)

 今回は熱いバトルっぽかったけど、随所に薄い本のネタになりそうなシーンがてんこ盛りでした。

《あらすじ》 第33話 小宇宙の神髄!セブンセンシズ!
シラーの攻撃で異なる世界へとユナが飛ばされていたころ、双児宮では意識を取り戻した龍峰にパラドクスはふたたび選択を迫っていた。そこへ金牛宮を突破した光牙が駆けつける。最初は光牙の攻撃に押され気味だったパラドクスだったが、その性格が変わった瞬間、消耗していた体力を回復させた。パラドクスは人格ごとに小宇宙を持っていたのだ。体力を回復させたパラドクスは光牙を一蹴、黒い笑みを浮かべながら龍峰に選択を迫る!
公式サイトより)

2012年11月16日金曜日

[紹介] 武富健治『掃除当番』

武富健治『掃除当番』
武富健治の初期短編集。『鈴木先生』に繋がる表題「掃除当番」や「ポケットにナイフ」意外にも掘り出し物が。主人公が一見弱い友達を若干上から目線で心配してたけど、実は自分の方が…って構造の話に心ざわついた!(crossreview

2012年11月14日水曜日

[紹介] 乾くるみ『イニシエーション・ラブ』

乾くるみ『イニシエーション・ラブ』
代打で呼ばれた合コンで僕はマユと知り合い、やがて恋に落ちてゆく。最初は全てが輝いて見えた恋愛もだんだんと倦怠期に入り…。先入観なく読んだ時、本作の魅力を一番味わえるので、ダマされたと思って読んで欲しい。(crossreview

2012年11月12日月曜日

[紹介] 森田幸孝『インターネットが壊した「こころ」と「言葉」』

森田幸孝『インターネットが壊した「こころ」と「言葉」』
ネットや携帯電話が一般に普及して20年。これらによって我々の身体や心・意識はどう変わったか。『ネットバカ』や『つながらない生活』など、優れた論考が見られる中、本書は俗流のテクノロジー批判でしかなかった。(crossreview

2012年11月11日日曜日

安定の蟹座は"死霊の盆踊ラー"! (聖闘士星矢Ω 第32話)

 今回は、ユナの表情に楳図かずおテイストが入っててワロタ!

《あらすじ》 第32話 真の恐怖!巨蟹宮に漂う妖気!
第4の宮、巨蟹宮へと飛ばされたユナ。その中へと入ったユナを待ち受けていたのは、この巨蟹宮を守護する蟹座、キャンサーの黄金聖闘士シラーだった。シラーに対して果敢に挑んだユナだったが、苦戦を強いられる。しかも、シャリア(原文ママ)は自らの手を汚すことなく、死者となった聖闘士を操ってユナを襲わせた。何度、倒しても立ち上がる聖闘士達に苦戦するユナ。そして、さらに現れた聖闘士の中にある人物の姿を見つけて、ユナは愕然とする!
公式サイトより)

2012年11月9日金曜日

[紹介] 『たけしメモ―「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」10周年記念企画』

ビートたけし『たけしメモ』
「天才たけしの元気が出るテレビ」の冒頭にあった大喜利コーナー。当時、爆笑しながら観ていたのを覚えている。番組十周年を記念して本になってたとは! 「こんなマスターズ陸上は嫌だ!」を読んだら腹がよじれた!(crossreview

2012年11月7日水曜日

[紹介] 清水義範『蕎麦ときしめん』

清水義範『蕎麦ときしめん』
表題作が面白すぎて、僕の名古屋観(偏見)はがっつり固まってしまいましたw 司馬遼太郎の文体で『さるかに合戦』を書いた「猿蟹の賦」もオススメ! 蟹の長男・蟹平の大村益次郎然とした佇まいがたまらないですw(crossreview)

2012年11月5日月曜日

[紹介] 加藤一二三『将棋名人血風録』

加藤一二三『将棋名人血風録』
名人制施行四百周年の節目の今年、歴代実力制名人と将棋界の歴史を、名人経験者である加藤一二三九段が語る!副題の「奇人・変人・超人」って著者のことですよ!w すぐ自分の話になっちゃうところが加藤先生らしい。(crossreview

2012年11月4日日曜日

骨フェチの次は紫龍ヲタ! (聖闘士星矢Ω 第31話)

 ジェミニのパラドックスって、旧作の紫龍ファンの腐女子に対する当てこすりかと思いました(笑)。

《あらすじ》 第31話 運命の分岐点!双児宮の謎!
ハービンジャーのグレイテストホーンにより光と共に消えた蒼摩たち。おどろく光牙に、ハービンジャーは蒼摩たちが光速の拳によって歪められた時空から何処かへと飛ばされたと言う。そして、龍峰は、金牛宮の次である双児宮へとひとり飛ばされていた。光牙を気にしながらも先に進む龍峰の前に、双児宮を守護する双子座ジェミニの女黄金聖闘士パラドクスが現れる。思わず身構える龍峰だが、何故かパラドクスは戦おうとはしなかった?!
公式サイトより)

2012年11月2日金曜日

[紹介] TENGA研究会編『TENGA論』

TENGA研究会『TENGA論』
男性用アダルトグッズの本というだけで馬鹿にしたり忌避したりせず、とにかく騙されたと思って読んで欲しい。そこには日本が誇るべきモノ作りの精神がぎっしり詰まっていて、プロジェクトXのような感動があるから!(crossreview