今回は2012年9月分のまとめです。
採点基準 (かなり主観が入ってますので、一応の目安としてご理解下さい)426
・1~5点…紹介しません。読んで欲しいものだけご紹介したいので。
・6点…「?」もあるけど一読の価値あり
・7点…面白かった!
・8点…オススメ!!
・9点…超オススメ!!!
・10点…ホームラン級の突き抜けた面白さ!!!
☆8
福嶋隆史『「本当の国語力」が驚くほど伸びる本』
国語の本質を論理的思考力と3つの要素で定義し、その力をつけるため「型」に基づいて書くことを優先している。簡単なところから丁寧に段階を追い、「基本にして奥義」の型を確実に習得させるメソッドが素晴らしい!
2012-09-01 13:21
427
☆5
森田幸孝『インターネットが壊した「こころ」と「言葉」』
ネットや携帯電話が一般に普及して20年。これらによって我々の身体や心・意識はどう変わったか。『ネットバカ』や『つながらない生活』など、優れた論考が見られる中、本書は俗流のテクノロジー批判でしかなかった。
2012-09-02 23:29
428
☆9
仲正昌樹『知識だけあるバカになるな!』
人文学系に学問に興味を持った人を対象に「学問(人文学系)の思考法」を入門の入門から説明した本。地に足の付いたレベルから一番骨太な基礎を教えてくれている。下手な思考術系の本を読むくらいなら本書を読むべき。
2012-09-03 15:55
429
☆8
中村淳彦『職業としてのAV女優』
AV業界のデフレ化と格差社会化にビックリ! 女性の価値の暴落を知ると、デフレの本当の恐ろしさとは、「貧すれば鈍す」で経済的困窮により人間の尊厳にまでデフレが進行することではないか、と思わずにいられない。
2012-09-04 11:39
430
☆9
乾くるみ『イニシエーション・ラブ』
代打で呼ばれた合コンで僕はマユと知り合い、やがて恋に落ちてゆく。最初は全てが輝いて見えた恋愛もだんだんと倦怠期に入り…。先入観なく読んだ時、本作の魅力を一番味わえるので、ダマされたと思って読んで欲しい。
2012-09-05 15:13
431
☆8
岩田温『逆説の政治哲学』
政治哲学に関する名著のフレーズを紹介しつつ、著者の解説・コメントが付された本。一節が短くコラムのようで読みやすい。また、発展的な読書のためにと紹介される参考文献が充実。保守思想の入門書としてもオススメ。
2012-09-06 14:16
432
☆9
内田樹『街場の文体論』
内田樹の最終講義にして総決算。「クリエイティブ・ライティング」という講義名からは少し外れるものの、そもそも文章を書くと言うことはどういうことかという根源にまで遡って論究した本。知的スリルに満ちた一冊!
2012-09-07 10:49
433
☆7
佐々木正悟『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』
「すぐやる」には意思の力に頼るのではなく、段取りをしたり、仕事に取り組みやすい環境を整え、仕事に取り組むことを習慣づけて行くことが大切。できる人には当然の話なんだろうけど、できない人は技化するしかない。
2012-09-08 10:11
434
☆7
井沢元彦『なぜ日本人は、最悪の事態を想定できないのか――新・言霊論』
著者の評論デビュー作『言霊』の2012年版&ダイジェスト版。日本人の価値観に強力に根付く言霊思想。これを認識・自覚しないと、危機に対して無視という態度を取りがちな我々日本人の思考バイアスは修正できない。
2012-09-09 22:48
435
☆10
松村卓『誰でも速く走れる骨ストレッチ』
これはすごい! 痛くないし、すぐ効果が実感できる。ストレッチも従来の筋トレと同じようなアプローチでは逆に筋肉を固くしてしまう。著者の言うことに納得してると、甲野善紀さんのお名前が。なるほど、改めて納得。
2012-09-10 23:03
436
☆7
永江朗『書いて稼ぐ技術』
著者の体験を通じてフリーライターという仕事の実態や雰囲気がわかる本。ライター以前のことまで丁寧に指摘しているが、それができていない人が大半なのだろうと思う。書評は貶すべきでないか?の議論が興味深かった。
2012-09-11 21:58
437
☆8
豊田有恒『韓国が漢字を復活できない理由』
日韓W杯の遙か前から一貫して韓国を批判してきた著者の最新刊。日本憎しで漢字まで廃止しちゃった韓国の実態に唖然。漢字廃止問題を理解するには高島俊男『漢字と日本人』は必読!漢字廃止しなくて本当によかった!
2012-09-12 21:30
438
☆10
みなもと太郎『風雲児たち』(8巻)
田沼意知暗殺の一件では大っぴらに為政者の悪口が言える世の中の有り難さを改めて思い知る。歴史の見方が変わった。アイヌの歴史の悲惨さは涙無しに読めない。そして松前藩の外道っぷりに怒り心頭。本当に許せない!
2012-09-13 14:16
439
☆10
みなもと太郎『風雲児たち』(9巻)
田沼意次失脚。天明大飢饉の傷痕癒えぬ折、救済政策そっちのけで田沼への報復に熱中する愚劣な御三卿と松平定信。そして江戸では打ちこわしが頻発。それでも松平定信は熱狂を以て迎えられた。ポピュリズムの根は深い。
2012-09-14 11:21
440
☆8
田嶋幸三『「言語技術」が日本のサッカーを変える』
U-20女子ワールドカップで大活躍した田中陽子選手をはじめとするJFAアカデミー福島一期生の選手。彼女ら・彼らが受けていた指導は、自己決定力をつけるための言語力・論理力のトレーニングだった。今が旬の本。
2012-09-15 00:05
441
☆10
TENGA研究会『TENGA論』
男性用アダルトグッズの本というだけで馬鹿にしたり忌避したりせず、とにかく騙されたと思って読んで欲しい。そこには日本が誇るべきモノ作りの精神がぎっしり詰まっていて、プロジェクトXのような感動があるから!
2012-09-16 15:36
442
☆7
河合香織『セックスボランティア』
「障害者と性」を扱ったルポ。取材とインタビューから障害者と性の実情を知る内に、人間の尊厳という根本まで考えさせられる。が、著者の性に関する知識・理解が表層的なのもあってか、著者自身の考察が浅いのが残念。
2012-09-17 23:07
443
☆7
森高夕次・アダチケイジ『グラゼニ』(5巻)
オフシーズンの悲喜こもごも。ラジオ番組出演では野球界のタブー発言を連発してしまう。日本シリーズはなくなってたんだ…。引退後の身の振り方とトライアウトなど、他ではなかなか知ることができない話がてんこ盛り。
2012-09-18 21:08
444
☆8
岩明均『ヒストリエ』(1巻)
アレキサンダー大王の秘書官の物語。ってチョイスが渋すぎ!故郷カルディアに戻ってきた青年エメネウスは過去の回想を始め…裕福な家庭で何不自由なく育っていた彼は、毎晩蛮人(バルバロイ)の同じ夢を見るのだが…
2012-09-19 23:52
445
☆8
ジェームズ・W・ヤング『アイデアのつくり方』
クリエイティブな発想法の基本にして奥義。本文はわずか51頁しかないが、調べて、検討し、寝かせて、ひらめく、というひらめきの過程が、必要十分にまとめられている。すぐに読めるので、是非一読をオススメしたい。
2012-09-20 14:10
446
☆8
森高夕次・アダチケイジ『グラゼニ』(6巻)
野球解説者と実況アナの舞台裏が地味に面白い。データを手書きでまとめる実況アナにビックリ&納得。契約更改での駆け引きも面白い。悲喜こもごもだけれど、これもテレビで映して欲しいなぁw 先発転向話がまた浮上。
2012-09-21 12:09
447
☆9
岩明均『ヒストリエ』(2巻)
スキタイ人奴隷・トラクスが金貸しの主家一家を惨殺して脱走を企てたことから、エメネウスの人生に転機が訪れる。毎夜夢で見る謎の女、出生の秘密、その全てが符合する時…幼少期のエメネウスの真実の描き方がイイ!
tomiyadaisuke
2012-09-22 11:29
448
☆7
橋上寿子『恋寄席通い』
女性向けの落語入門。脂の乗りきった落語家9人へのインタビューがメイン。落語への熱い思いは一緒だが、落語に対する考え方は九人九様。落語の懐の深さを感じさせられた。あとがきは…正直読まなきゃ良かったorz
2012-09-23 19:53
449
☆9
岩明均『ヒストリエ』(3巻)
カルディアのお坊ちゃんから一転、奴隷として売られていくエメネウス。が、予想外に早くエメネウスは自由の身に。漂着したパフラゴニアの村で暮らす中で、予想だにしなかった平和な日々。しかし、その平和に暗雲が―
2012-09-24 14:39
450
☆10
岩明均『ヒストリエ』(4巻)
ボアの村を我が物としようとするティオス市のダイコマス。エメネウス奇策を巡らしてダイコマスを討ち、ボアとティオスの和睦を実現する。が、その代償として憎まれ役となることになったエメネウスは村を去ることに…
2012-09-25 16:59
451
☆8
乾くるみ『セカンド・ラブ』
会社の先輩に誘われたスキー旅行で正明は春香と出会った。その後、正明の目の前に春香そっくりの女・美奈子が現れる。清楚な春香と大胆な美奈子の間で揺れ動く心。『イニシエーション・ラブ』のドンデン返しが再び!
2012-09-26 11:49
452
☆9
岩明均『ヒストリエ』(5巻)
カルディア時代の過去との決別が済んだエメネウスは、遂にマケドニア王・フィリッポスに仕えることに。庭の噴水の細工や、王子に献上する玩具の話が妙に面白い。『ヘウレーカ』と同じく、ギミックの見せ方が上手い!
2012-09-27 12:09
453
☆10
岩明均『ヒストリエ』(6巻)
アレクサンドロスとエメネウスが遂に出会う。エメネウスは書記官として、記録整理の方法を提案したり、鐙を考案したりと工夫好きな私の心をくすぐってくれる。アレクサンドロスの二重人格が、本巻で仄めかされている。
2012-09-28 10:47
454
☆8
和田竜『のぼうの城』(上)
小田原征伐での忍城攻防戦。でくのぼうの略で「のぼう様」と領民に呼ばれていた成田長親。上巻の最後、石田三成の傲慢な振る舞いにはじめて怒りを露わにし、降伏をやめ、二万を相手に五百の軍勢で籠城する所が見せ場。
2012-09-29 01:46
455
☆7
和田竜『のぼうの城』(下)
初戦に勝利をおさめた忍城勢だったが、三成の水攻めにより一転窮地に追い込まれる。ここで長親は決死の奇策にうって出る―。もう少しコンパクトな方がリズムが出たと思うが、ラノベタッチで読みやすく筋も面白かった。
2012-09-30 00:08