《あらすじ》 第36話 気高きプライド!ミケーネ、王者の拳!獅子宮に到着した蒼摩と栄人。
獅子宮へと入った蒼摩と栄斗の前に立ちふさがったのは、因縁ある黄金聖闘士、獅子座、レオのミケーネだった。果敢に戦いを挑んだ蒼摩と栄斗だったが、ミケーネとの実力差は歴然、その必殺技の前に危機におちいる。だが何度、倒れても立ち上がるふたりを見ているうちに、ミケーネの心の迷いが大きくなっていく。マルスへの忠誠、エデンへの想い、そしてメディアへの不信。仲間を信じて戦う蒼摩と栄斗に対して、ミケーネは己のプライドをかけて戦う!
(公式サイトより)
そこには、プリンス・エデンの
やや忸怩たる思いを抱いていることが表情から滲み出ています。
以前も手合わせしたことがある二人。
「あの頃の俺たちとは違うぜ!」と息巻く蒼摩だったが、やはり圧倒的実力差からスタートするのが『星矢』の様式美というもの。全く通用しません。
「小獅子が獅子に敵うと思うのか?」
ミケーネさん、ずっと蒼摩に対して抱いていた疑問を言ってくれました! 今回の最大のカタルシスはここと言っても過言ではありません!
お約束の挨拶ボッコを食らった栄人が、ミケーネに尋ねます。
なぜそれほどの力を持ちながらマルスに従う?これに対し、ミケーネの答えは、
お前だってわかっているはずだ、マルスが子の世界を滅ぼそうとしていることを!
たとえそれが人から悪と罵られようと、たとえそれが多くの悲劇を生み出そうとも、
私は、マルス様への義を果たす覚悟ぉッ!
えー、めっちゃ個人的な事情じゃん! …と言いたくなりますが、そんなツッコミすら許さないミケーネの目力。「くわっ!」と見開かれた瞳孔の奥に沈みゆくようにして、ミケーネの回想シーンがはじまります。
ミケーネは、アテナとマルスとの戦いが始まる前、マルスの「崇高な意志」とやらに感動したそうです。それ自体は語られませんでしたが、ここでミケーネはアテナとの戦いのスタメンから外れることを言い渡されます。戦い終わった後の、新しい世界の復興と発展、維持管理の班に回されたわけです。『銀河英雄伝説』でいうと、イゼルローン共和政府の代表・フレデリカや後方支援のキャゼルヌ、といった位置づけでしょうか。
当時は額にバッテンがなかったミケーネ。
いつついたのかは不明ですが、もしかすると、上岡龍太郎の前で占いをしたせいでついたものなのかもしれません。
一方のマルス様も、昔はマスクをしておらず、ただのラオウ的なコスプレ親父だった模様。
今は胴体部分もギャラクシーな感じになっており人外感で溢れていますが、昔は「ルードビル」(?)という生身の人間だったようです。
「力ある者が力のないものを支配し、悩みや苦しみの無い世界を作る」という絶妙にアレな理想に共鳴を覚えるミケーネ。カテキョの失敗の件といい、この人、実はあんまり頭が…(以下略
一方で、マルスの妻(?)にしてエデンの母であるメディア様は、光牙の闇の小宇宙に並々ならぬご執心ぶりを発揮。実の息子すらないがしろにしかねない物言いに、カテキョのミケーネさんの不信感は否応なくかき立てられます。
こうやってミケーネのここに至る経緯を見ていると、「義に厚い」ということが「自分でモノを考えない」にすり替わってないか? という疑問を禁じ得ません。そうなってくると、過ちを犯しているのでは? と薄々気づきながらも従い続ける理由である「義」も、単に「今更生き方変えられるか!」という開き直りと同じようなもので、福本伸行のギャンブル漫画に出てくる「ずっとうじうじ決断できずに泥沼にハマり続け、最後の最後に出したことも無い勇気を振り絞って破滅の確定を選択するザコ」と重なって見えてきます。
「その忠義のために、この世界を滅ぼそうってのか!?」という蒼摩の真っ当な問いに対し、「そうだ!」と断言するミケーネ。
ひとたび己の信念に従い、誓った忠義。言葉がキリッ! なだけで、やっぱり先ほど述べた開き直りでしかありません。アイオリアは草葉の陰でこの台詞を聞き、頭抱えてるんじゃないでしょうか?
それに背くのはこの聖衣を着る者の責務に反する。
二人の攻撃を微動だにせずあしらったミケーネ。
「この程度の小宇宙で人に講釈するとは…」と、あの程度の思慮で講釈を垂れたミケーネさんはご立腹。必殺技、キングス・ロアを繰り出します。
技を食らった栄人は「これは二つの異なる攻撃を繰り出している」と分析。
ご名答! とばかりに「獅子の咆哮で相手の動きを止め、獅子の牙によって相手にとどめを刺す」とミケーネは種明かしをしてくれます。
「良いのかよ? 種明かしなんてしちまって」という蒼摩に、「仕組みを理解したところで、お前たちにはどうすることもできん」と返すミケーネ。確かに、マジックのタネ本を買ってきて読んでも、練習しない限りマジックが出来るようにはなりませんから、この意見は正しいです。
そして、ここから「ぶつかり稽古」がはじまります。いつもの根性路線ですね。
倒れても倒れても立ちがあってくる意志の強さについて、あれこれ思考を巡らすミケーネ。そして、青銅聖闘士たちの強さの秘密が仲間との絆にあることに思い至ります。
この瞬間、頭にぼっちのエデンがかすめ、カテキョのミケーネは自分の失敗に気づいたようです。
(しまった! エデンに学友をつけとけばよかったんだ!)
が、アリアの一件以降、三角座りメンタリティをこじらせ、ミケーネ必死の説得に対しても「親父が間違ってんじゃね?」と斜め上の反抗期にスライドしたエデンの仕上がりは、今更どうしようもありません。結局ここでもミケーネは逆ギレするしかなく、
「では今こそ、それ(真っ直ぐな信念と仲間との絆)を示してみろ!」
と、二人に対峙するのでした。
そして、キングス・ロアを打ち破った二人に、ミケーネは最大奥義、キングス・エンブレムを繰り出します。
ボサッとして一瞬回避・防御が遅れた蒼摩を、栄人が身を挺して守ります。
そして、仲間の犠牲からの小宇宙燃焼…というキャラ通りのお約束に走る蒼摩。
イヤボーンからのライオネットボンバーが来ているのに、ミケーネはこのタイミングで、寄りにもよって、しくったカテキョことを思い出します。
純粋で、己の意志で真っ直ぐ前を見据え、「マルス様、あなたさまの息子はしっかりと成長しています」と胸を張って言えた頃の思い出がミケーネの胸を去来していました。それが今では、守るべきアリアを失い、うじうじ三角座り野郎になってしまった…だんだんミケーネにもエデンのうじうじが感染してきてないか?(笑)
「エデン様…今一度、あの頃のように…」
だんだん三角座りメンタリティに心を支配されるようになっていました。
その頃、当のエデン坊ちゃんはまだ花畑でうじうじしていたのですが…
やっと「アリアが守ろうとした世界を守る。親父の間違いを糺す。ってか俺、親父の作る世界、要らねえし」と覚悟を決めます。
血の涙を流していましたが、これは多分うじうじの打ち止めを意味しているのでしょう。
都市伝説でよく聞く、オ○ニーのしすぎで赤玉が出る、というアレと同じ理屈です。
死んだ後まで手のかかるエデン坊ちゃんが、やっと覚悟を決め、成仏できたアリアのスッキリ感が花びらとなって十二宮を舞いました。
相打ち…というにはダメージの量が違いすぎますが、ミケーネはそれなりに納得したよう。獅子宮を通してくれます。
青銅聖闘士たちの真っ直ぐな思いと、仲間との絆、前を見据える目、それらに打たれたようなことを独り言つミケーネ。
こういう理屈っぽいことをゴチャゴチャ言う割に、結局職務放棄してるだけじゃねえか、という態度にメディア様はたいそうご立腹でした。
目が怖いよ!
昔、知人にそんな目をしながら人を呪ってくる