今回は2012年7月分のまとめです。
採点基準 (かなり主観が入ってますので、一応の目安としてご理解下さい)364
・1~5点…紹介しません。読んで欲しいものだけご紹介したいので。
・6点…「?」もあるけど一読の価値あり
・7点…面白かった!
・8点…オススメ!!
・9点…超オススメ!!!
・10点…ホームラン級の突き抜けた面白さ!!!
☆9
福本伸行・かわぐちかいじ『生存 LifE』
末期癌の武田は、14年前に失踪した娘が白骨で見つかったことを機に、余命を懸けて娘の死の真相を調べ歩く。細い糸をたぐり寄せて真相に近づく武田。立ちはだかる時効の壁。ヒューマンドラマ&手に汗握るサスペンス
2012-07-01 22:35
365
☆9
鈴木みそ『僕と日本が震えた日』
ルポ漫画の天才が、等身大の視点から描く「東日本大震災」。「正しい放射線の測り方」も本書の大きな売りだが、それ以上に読んで考えるべきは、身近な被害から描き出された、我々が生きる現代社会の実態。オススメ!
2012-07-02 19:45
366
☆8
甲斐谷忍『ウイナーズサークルへようこそ』(1巻)
競馬を舞台にした『LIAR GAME』『小田霧響子の嘘』という感じ。論理トリックや数理トリックを競馬でやっており、推理モノとして楽しめる。競馬知識0でも大丈夫、気づいたら競馬に詳しくなってるでしょうw
2012-07-03 18:33
367
☆9
小田嶋隆『小田嶋隆のコラム道』
天才コラムニストがコラムについて連載したコラム。何という入れ子構造!いつもの小田嶋節を楽しんでいる間に、文章を書く本質のようなものがわかってくる!面白い文章術…ではなく「文章術も身につく面白いコラム」
2012-07-05 00:05
368
☆8
ジョージ・オーウェル『動物農場』
動物たちが人間を追い出して作った動物農場。が、指導者の豚が次第に特権階級として贅沢をするように…ロシア革命と共産主義を痛烈に諷刺した寓話。愚民による民主主義こそが独裁制の温床だということを教えてくれる
2012-07-05 22:56
369
☆10
中島らも『西方冗土』
俗流の関西文化論のしゃらくささを一蹴するような"原液の大阪"を凝縮したエッセイ。コテコテなどと言う言葉では表せない濃さを、淡々とした筆致で描き出す。後にテレビで有名になった「アジアコーヒ」の話は必読!
2012-07-06 10:23
370
☆8
古沢良太・相田冬二『キサラギ』
映画「キサラギ」のノベライズ版。【本書を読む前に必ず映画を見て下さい!!】本書は小栗旬演じる「僕(家元)」の視点から物語が語られる。映画では語られなかった家元の如月ミキへの思いがわかり、より楽しめます
2012-07-07 11:24
371
☆9
落合博満『采配』
「オレ流」と言われる著者の指導法や方法論が書かれているが、選手が自分で考えて練習やプレイをし、自分で成長するように、という極めて真っ当なものだったのが意外。山井投手交代の一件について知れたのも良かった
2012-07-08 12:40
372
☆8
落合博満『コーチング』
『采配』の後に読んだので重複する部分もあった。しかしそれは著者の考え方の本質がぶれてないということ。自主的に考えさせ、気づかせる。口を出したくなるけど「見守るだけ」、というのはまさにコーチングの核心!
2012-07-09 22:28
373
☆9
浅草キッド『お笑い 男の星座―芸能私闘編』
熱さとは何か。男とは何か。それは本書を読めばわかる! 格闘家の熱き生き様から、城南伝記の宮路社長や水野晴郎、果ては岸部四郎にターザン山本まで、どうして全てをここまで熱く語れるんだ!感動&抱腹絶倒の一冊
2012-07-10 23:18
374
☆8
岡田斗司夫・福井健策『なんでコンテンツにカネを払うのさ?』
岡田斗司夫の質問に福井健策弁護士が答えながら「著作権とは何か」を原理的に考える対談。通説は通説だけあってタフです!これからのコンテンツはどうあるべきかについて、福井弁護士のアーカイブ構想が素晴らしい!
2012-07-11 20:06
375
☆9
小室直樹『信長』
日本に近代資本主義の精神をもたらしたのは信長である!トンデモに見えるが知の巨人を侮るなかれ。近代資本主義のモデルを当てはめることで信長の革新性が鮮やかに浮かび上がる。桶狭間の解釈も最新のものでビックリ
2012-07-12 23:57
376
☆8
池谷裕二・上大岡トメ『のうだま』
やる気に関するビジネス書・自己啓発本は数あれど、本書ほど読みやすくてわかりやすい、しかも実践しやすくまとまっている本ってなかなか無いと思う。すぐ読み終わるけど、読み返す度にやる気をもらえる「リポD本」
2012-07-13 14:14
377
☆10
浦沢直樹『MASTERキートン』(1巻)
大学の考古学の講師にして保険の調査員、そしてかつて英国SASでサバイバル術の教官だったという異色の経歴の主人公が探偵役の、一話完結物語。考古学や軍事、その他の知識が随所にちりばめられた知的娯楽の傑作!
2012-07-14 11:18
378
☆8
竹内義和『ウルトラマンの墓参り』
著者の青春時代のエピソードが詰まった娯楽小説。サイキッカーには懐かしい話も。うだつの上がらない主人公・祐太朗の人生が、智也たちとの出会いを機に動き出す。京橋を舞台に青春小説は予想だにしない展開を見せる
2012-07-15 20:26
379
☆9
森繁和『参謀』
落合監督を支え続け、中日を常勝軍団にした「相棒」の本。落合監督の『采配』と内容が似ている部分もあるが、中間管理職であるコーチ目線から書かれているので、むしろ『采配』とセットで読むべき。オススメの一冊!
2012-07-16 23:02
380
☆9
宮崎哲弥『1冊で1000冊読めるスーパー・ブックガイド』
ブックガイド版『日本の論点2001~2006』といった趣。テレビで幅広い分野にコメントしている評論家の著者が、主に社会人文系の論点と論者と書籍を手際よくマッピングしている。非常に読み応えのあるレファ本
2012-07-17 23:57
381
☆7
橋本治・内田樹『橋本治と内田樹』
対談本と言うよりは内田氏による橋本氏へのインタビューといった感じ。橋本ファンなため"居着い"ちゃったのか、内田氏のキレが今イチ。橋本治という人は想像以上に変わり者だが、思考回路が丁寧に語られている印象
2012-07-18 23:21
382
☆9
浅草キッド『お笑い 男の星座2 私情最強編』
前作よりも一章が長くなり、より濃く、深く伝説を描いた印象。鈴木その子にネイチャージモンと、世間が気づいていない面白いキャラを発掘する浅草キッドのキュレーション力の高さに脱帽。江頭グラン・ブルーに感動!
2012-07-19 23:01
383
☆8
江戸川乱歩『怪人二十面相』
人生で初めて読んだ小説。大人になって読み返してみてビックリ!放送禁止用語連発!(笑) き○がいと乞食が出てこないと話が進まないからカット不可! あと、小説で「変装していたのだよ」と言われてもなぁ(笑)
2012-07-20 23:45
384
☆8
桂枝雀『らくごDE枝雀』
不世出の天才、桂枝雀が笑いについて4分類した「緊張と緩和」理論を説明した本。地口落ちなど従来の分け方と違うのは、オチを聞いた客がどう感じるかという客目線で構築した理論だということ。対談形式で読みやすい
2012-07-21 01:59
385
☆6
齋藤孝『「頭がいい」とは、文脈力である。』
文脈力とは、自分の考えや発言・立ち位置だけでなく、相手の考えや事情も考慮に入れ、全体を客観的・俯瞰的に見て適切な言動をとる能力のこと。高学歴で頭が良いとされているが「文脈力」のない人っているだけに納得
2012-07-22 23:49
386
☆10
加藤秀治郎『日本の選挙』
衆議院選挙前に読んでおきたい一冊。民主主義や政治についてちゃんと考えるなら、本書で選挙制度の根幹を押さえるべき。日本の選挙制度が、目的も性質も全く異なる制度をデタラメに組み合わせた酷いものだとわかる!
2012-07-23 23:54
387
☆10
架神恭介・辰巳一世『よいこの君主論』
目立小学校5年3組で繰り広げられる権力闘争。ひろしくんは『君主論』を武器に、覇権を握ることができるか!?設定だけで勝ちが約束されたイロモノのようだが、案外『君主論』の理解がしっかりしている良質の入門書
2012-07-24 22:44
388
☆8
有吉弘行『お前なんかもう死んでいる プロ一発屋に学ぶ「生き残りの法則50」』
極論の中から浮かび上がる本質。世に蔓延するポジティブ思考に冷や水を浴びせる真理。ネガティブ発想だけど、思い上がらない・常に落ち目に備えておく・どうにもならないことで無駄にあがかない、という結論は真っ当
2012-07-25 10:48
389
☆10
みなもと太郎『風雲児たち』(1巻)
幕末の因縁は関ヶ原にあり、と描き始めて延々江戸時代を描くことになった名作歴史大河マンガ。関ヶ原の戦いとその戦後どういう因縁が生まれたのかがよくわかる!ドタバタギャグ全開だが、薩摩の正面退却は血気迫る!
2012-07-26 07:58
390
☆10
みなもと太郎『風雲児たち』(2巻)
山内一豊という凡夫が土佐二十四万石という過ぎた領土を治めることになったのは悲劇としか言いようが無い。器って大事だと思わされた。秀忠と静のラブロマンスが、後に名君・保科正之と幕末会津の悲劇を生むことに…
2012-07-27 22:39
391
☆10
みなもと太郎『風雲児たち』(3巻)
母の教えを胸に、父や兄(徳川家)に忠義を尽くした保科正之。明暦の大火のときの対処はまさに名君と呼ぶべきもの。こういう人をこそ歴史の授業で取り上げるべき!後半の宝暦治水伝は、幕府による苛烈な薩摩いじめ!
2012-07-28 00:09
392
☆10
みなもと太郎『風雲児たち』(4巻)
宝暦治水伝・後編では、薩摩藩士の抗議の切腹が切なすぎる…。高山彦九郎・林子平・平賀源内が登場。そして前野良沢・杉田玄白の解体新書出版プロジェクトがスタート!判じ物のような翻訳作業は遅々として進まない!
2012-07-29 20:16
393
☆10
みなもと太郎『風雲児たち』(5巻)
解体新書出版を巡る、前野良沢と杉田玄白の苦悩。幾多の苦難を乗り越え、多くの仲間に助けられ、最後には仲違いまでして出版した解体新書を目の前に男泣きする良沢・玄白・中川淳庵に、読んでるこっちももらい泣き!
2012-07-30 17:40
394
☆10
みなもと太郎『風雲児たち』(6巻)
平賀源内という人はビックリするくらいマルチな才能を持った人だったが、彼の一生を知ると、器用すぎるのも考え物かも。彼が唯一恵まれなかったのが「時代」。生まれるのが早すぎた天才の、孤独と悲劇が切なすぎる!
2012-07-31 16:05