2012年7月11日水曜日

[紹介] 山岸俊男・爆笑問題『人間は動物である。ただし……』

山岸俊男・爆笑問題『爆笑問題のニッポンの教養 人間は動物である。ただし…… 社会心理学』


山岸先生の研究・著作の入門書としてオススメ。番組の起こしで、対話形式だから読みやすい。爆問・田中が良い聞き手なのに対し、太田の発言がほとんど噛み合ってない。が、本だと読み飛ばせるのであまり気にならない。(crossreview


NHK「爆笑問題のニッポンの教養」という番組の起こし本。社会心理学者・山岸俊男先生の研究テーマ「安心社会と信頼社会」がわかりやすくまとまっています。
山岸先生は積極的に実験を行っている研究者ですが、番組の起こし本なのでその実験の様子も収録されています。また、山岸先生がなぜ実験を重視されるかなどもインタビューを通じて理解することができました。こういった点はテレビ番組の起こし本ならでは、と言えるかもしれません。

ただ、ちょっと眉をひそめてしまうのが、爆問・太田光さんの自己陶酔的とも言える思索や発言です。
本書の元になった番組もよく観ていたのですが、太田氏はややもするとすぐ自分の関心の赴くまま小難しいことを言おうとされ、話の腰を折ることがしばしばでした。何というか、無理矢理深いことを言おうとしているようにも感じられることがあり、ある種のイチビリのように思っていました。
これは本書にも収録されているわけですが、番組と違って本だと読み飛ばせるので、番組ほど気にはなりませんでした。

これに対して爆問・田中裕二さんの受け答えは、活字で読んだ方がその上手さが光っています。太田氏と違って変な衒いがない分、素直に分からないことを聞き、分かったことを素直に返しているので、聞き手としての優秀さが際立っていました。読んでて「ふむふむ」「ほう、なるほど」とこっちのテンションも上がるのは田中氏と山岸先生が話している箇所でした。

ネット評判社会』の、特に第3章辺りが読みづらいなぁと思った方は、先にこちらを読んでみるのもいいと思います。