2012年7月2日月曜日

[紹介] さとう珠緒『超教養』

さとう珠緒『超教養』

中の人はサバサバした性格で「ぷんぷん」の正反対。ブリッ子で韜晦しつつの辛口書評! 電車男を「キショい!」と切り捨て、藤原正彦を掌の上で転がし、かと思えば渡辺淳一や石原慎太郎には褒め殺し。芸が広すぎ!w (crossreview

さとう珠緒と言えば、一頃「ぷんぷん」のブリッ子キャラで一世を風靡したグラビアアイドルの走り。
しかし、本書を読んで驚愕。中の人はオッサンじゃないですか!

『電車男』ではオタク系を「キモい!」と一刀両断。しかも、「そもそも、普通、2ちゃんねるでみんなに相談していたことを知った時点でアウトでしょ?」と、仰ることがごもっとも。
単に偏見でボロカスに言っているのでは無く、具体的なダメ出しがしっかりしています。
男性に言いたいのは、汚い居酒屋でも盛り上がれるような余裕がないとダメってこと。マニュアル本を読んで勉強するような”女にがっついてる感覚”、これこそがモテない理由なんです。
ここで面白いのは、このダメ出しがそのまま女性にも向けられていることです。
『NANA』を取り上げたとき、これは30代以上の女性が読むべき本であると喝破。
若者は『NANA』を恋愛バイブルにする前に現実で恋を覚えなさい! ナナやハチは決して恋愛勝ち組じゃないぞ! そして、恋から遠ざかっているおばさんは今すぐ書店に走ろう!
って、この説教の構造は『電車男』でオタク系の男に向けられたのと全く同じですよね。

「いい若いもんが本やマンガで恋愛経験積んだ気になるんじゃないっ! そんな暇あるなら町へ出て生身の人間とフルコンタクトでぶち当たれ!」というオッサンのような説教が、「ぷんぷん」の衣をまとったまま鉄槌として振り下ろされてるのがスゴいです。

かと思えば、渡辺淳一や石原慎太郎にはブリッ子キャラで下手に出ています。何だ、親父には媚びてるのか…と思いきや、読み進めると褒め殺し。『国家の品格』の藤原正彦レベルだと完全に手玉に取ってます。

さとう珠緒の着ぐるみ(キャラ)と中の人(性格)のギャップも凄いけど、そのギャップから繰り出される芸の幅広さに圧倒されました。