2012年7月6日金曜日

[紹介] 宮下秀樹『ちぇんごく』(上)

宮下英樹・本郷和人『ちぇんごく』(上)

『センゴク』シリーズ副読本というより対話形式の講義録といった趣。戦国時代の実像(http://bit.ly/HcEFL0参照)を知ると、華々しい戦国武将たちの歴史物語の見え方が一変すること間違いなし!(crossreview

リアルな戦国時代と合戦の新解釈を描くマンガ『センゴク』シリーズの副読本。竹中半兵衛重治とゲスト講師(戦国武将)が仙石権兵衛に講義する対話形式なので読みやすい。

しかもこの歴史講義、歴史小説などでは軽視されがちな戦国時代の実像や社会システムについて解説されています。

以前も少し書いたのですが、歴史には、英雄(人物)中心の政治史・戦争史(=A)と、庶民史や社会システムなど(=B)があります。
歴史好きな人は経験があると思いますが、学校の歴史の授業で戦国時代に入っても、血湧き肉躍るような合戦話や英雄譚ではなく、「楽市・楽座」「刀狩」「太閤検地」など政策などが淡々と述べられるだけで肩すかしを食らったような気持ちになったことはないでしょうか。歴史の「B」とすればややもすると面白みが感じられないことがあります。

しかし、本書ではこのBの知識を「戦国武将はどういう状況下で、どういう価値観に基づき、どういう風に考えて史実のような行動を取ったか」という戦国武将の実像(A的な話)に迫るために使っているので、それ自体も面白いですし、それ以上に今まで歴史小説などで楽しんでいたAの話も立体的に見えてきてより楽しむことができます。

『センゴク』シリーズを読んだことがなくても、戦国時代が好きな人にオススメです。