有名棋士が、麻雀に始まりサイコロ博打、トランプ、おいちょかぶ、手本引き、そしてカジノまで、ルールや勝負の綾を紹介。文化を知る上でも、いきなり破滅までのめり込まないためにも、知識として知っておくのは有益。(crossreview)
羽生世代の有名将棋棋士の一人で、エッセイでも有名な著者による、博打のルールと勝負の綾の解説本。麻雀に始まり、サイコロ博打、トランプ、おいちょかぶ、手本引き、そしてカジノまで幅広く紹介されています。
インターネット全盛の現在では、それぞれのゲームのルールを知ること自体は、Google先生にお伺いを立てればたやすいことです。が、著者が実際に「博打打ち」として(?)それぞれをやってきた体験を踏まえ、それぞれの勝負の醍醐味やポイントを書いてくれています。読みどころはここでしょう。単なるルールブックやゲームの紹介ではなく、血の通った博打の楽しさを教えてくれています。
本書ではタイトル通り、「小博打」をすすめています。人によっては「博打」を毛嫌いし、「そんなもののやり方を教えるなんてとんでもない」と思う方もいるかも知れません。
が、私はそうは思いません。無菌状態で育てたら逆に抵抗力がつかないということもあるように、博打についても、それが身の破滅にも至りかねない危険性を持っているのならなおさら、博打についての知識くらいは持っておくべきです。むしろ、博打の知識をもつことで、健全な娯楽の範囲で博打を「嗜む」こともできます。また、そのゲームとしての深さ(読み合いだったり、メカニズムだったり)あるいはその歴史性を知れば、それが教養と呼ぶにふさわしい文化性を有していることもわかるはずです。特に手本引きの深い読み合いを知れば、それを「博打」のイメージで蔑視するのはあまりにも野蛮と言わざるを得ません。その上、表向きは刑法185条により賭博が禁止されているにもかかわらず、日本国内で何兆円産業と言われるパチンコ・パチスロが厳然として存在する矛盾を目の当たりにするとき、刑法185条は日本の博打という文化・風俗をやせ細らせる弊害も大きいと言わざるを得ません。
色んな博打を楽しもうと思っている方、単に博打について知りたい方、あるいは、正月に親戚が集まったときに子供からお年玉を回収しようと企む方にも本書はオススメです。