《あらすじ》 第45話 荒ぶる軍神!マルスとルードヴィグ!いつの間にか新十二宮の日時計も残り一時間に…
双魚宮を突破した光牙は、ついにマルスのもとへとたどり着いた。戦いを挑む光牙に対し、マルスは戦うことの意味を問う。そこへ、父の野望を止めようとエデンが駆けつける。人を犠牲にする父のやり方に異を唱えるエデンに、マルスは自分の過去について語り始めた。それは、マルスとなる前、まだルードヴィグと呼ばれていたころの話…。平穏な生活を過ごしていたルードヴィグに、その人生を大きく変える事件が起こった!
(公式サイトより)
火星も、肉眼で大きく見えるくらいまで接近しています。
地上の人間は不安げに空を見上げていましたが、これだけ火星が近づいてくれば、さすがにNASAをはじめ、国際社会も気づくでしょう。火星の大きさからすれば、太平洋で油田掘ってるブルース・ウィリスたちを訓練して穴掘り&核爆弾設置に行かせるとは思いませんが、Ωの世界の人たちはこのような大胆な天変地異をどのように思ってたんでしょうか…
ちなみに、光牙も十二宮の一番上まで来て「火星がこんなに…」と驚いていましたが、十二宮登ってる間にも見えたやろ、と思うところではあります。
相変わらず闇の小宇宙(;´Д`)ハァハァな腹黒占い女です。
ちなみにこのメディア、正式な肩書きは「『聖なる魔女』と呼ばれている謎の女」だそうで、形容矛盾がスゴすぎてどこから突っ込んで良いのかわかりません。
そう言えば、私の知っている人にもこういう人が一人おりました。本人は占い師のつもりだけど、端から見たら完全に呪い屋というメン○ラな人。その呪い屋さんとメディアがかぶって見えるので、もう日曜の朝から怖くて怖くて…
遂にマルスのもとに辿り着いた光牙。
そんな光牙にマルスからの質問です。
「この世界は美しいと思うか?」
マルスの言うところによると、アテナが守るこの世界には正義が充ち満ちておらず、不条理なことがいっぱいある、そのことが許せないようです。
「そういうテメェのやり方はどうなんだよ!?」と殴りかかる光牙ですが…
しっかりはじき返され…
「お前の小宇宙は、お前の意志はこの程度か」
とあしらわれ、ヌーベル・シドゥス・グングニルのお釣りまでもらいます。
這いつくばる光牙にお説教を垂れるマルス。
正義を乱すのは力なきお前らのような存在だ、と『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』に出てきたアバン先生みたいなこと(「力なき正義もまた無力なのですよ」)を言い出したかと思うと、力が無いのは自分の信じるもののために全てを犠牲にする覚悟と信念がないからだ! と論点の逸脱は留まるところを知りません。
言うだけ言ってスッキリしたマルスが、光牙にとどめを刺そうとした瞬間…
紫の電撃を食らいます。
パパ上のやりように不同意を表明し、地球の多大なる犠牲の上に成り立った楽園の創造が許されるのか? 自分はそんな世界は認めない、と言い放つエデン。
これに対し、マルスは「お前は今、私の行いが許されるか否かを訊いたな?」とこれまた論点ズラしを開始。そして…
「許されるのではない! 私が許すのだ! 神であるこの私、マルスがな!」
議論の着地点も気にはなりますが、それよりも息子に向かって「私は神だ!」と言う親父も、端から見るとなかなかにシュールです。
一方その頃、双魚宮では、アモールがユナをいたぶり続けていました。
なおも息子が自分の言うことに納得しないので、エデンに対して諭すように語り出したマルス。
「わからぬか? 憎しみと絶望を杖とし、屍を道標にして歩んだところで、その先には何も無いのだ」
そしてマルスは、神となる前の自分はエデンと同じであった、と言い出します。ここから、マルスの回想(志望動機の陳述)がはじまりました。
マルスはかつてルードヴィグという名で、職業は政治家(議会がどうこうという会話や、屋敷の警護等からそのように推測されました)。
そして、幼い頃のソニアはピアノでメヌエットが弾けた模様。ソニアの母である前妻のミーシャも美人で、なかなかに幸せな家庭だったようです。
夕食を食べながら、翌日、ミーシャが行きたがっていた演奏会に行くという話がでます。
が、その会場がテロリストに爆破され…
ミーシャは帰らぬ人に。
愛妻の理不尽な死と絶望に直面したルードヴィグは…
「正義」「世界を正す」という名目で、復讐の鬼と化しました。
しかしルードヴィグは、世界を正す行動(復讐)を遂行する中で、世界を乱す悪い奴らが、実は力に怯える弱い連中であることに気がつきます。
まるでハンナ・アレントが指摘した「凡庸な悪」の話みたいですが、そこから「戦いの神として世界人類を革新する!」と超軍事独裁に走ったのには、私だけでなくアレントも草葉の陰で驚嘆したことでしょう。
小宇宙の力でギリシャに新十二宮という軌道エレベーターを立ててしまったり、この「聖闘士星矢Ω」という作品は何気に知のブレイクスルーがスゴすぎます!
(ルードヴィグが絶望の果てにマルスとなるのを見越してやってきた、ハイエナのような聖なる魔女・メディア)
(妻の仇であるテロリストの写真に、ご丁寧にナイフを突き立てているルードヴィグ。復讐に燃えているのはわかりますが、どう見ても危ない人です。かつてAVの帝王・村西とおる監督は、自室の壁に100本の包丁を突き立てていた女と別れ話になったという話をしていましたが、それを彷彿とさせるシーンです。
こういう人が言い出す「正義」ほどおっかないもんはないんですよね…山本夏彦に言われなくてもわかるレベルです)
光牙に「お前が決めた勝手な正義を押しつけているだけじゃないか!」と言われ、遂に正義の定義を口にするマルス。
「正義とは、揺るがぬ事だ。退かず、怯まず、たじろがずにいることだ!」
これが合ってるのかどうかについても異論がありますが、それよりも、これを聞いたときに即座に頭に浮かんだのはこれです。
それはいいとして、また「アテナが治める世界では悪しき連鎖は断ち切れない」という意見についても、くり返される聖闘士内での内紛や裏切りの続発を見る限り妥当だと思います。
が、そういうマルス自身も黄金聖闘士に複数反逆ないしサボタージュされた上、前妻との娘・ソニアを体中傷だらけになるような戦士にしたり、後妻(メディア)の継子いじめを放置したり、果ては自分が覚悟と犠牲の末に作り上げようとしている世界を、それを受け継がせる当の息子に「イラネ!」と言われているに至っては、「理想の世界」「楽園」と言われても鼻白むだけです。
そして、マルス軍とアテナの聖闘士たちの戦いがはじまりました。
一輝兄さんも(無言でしたが)戦闘に参加していたようです。
(鳳翼天翔は、旧作の十二宮編よりは格好良くなってました。相変わらず今イチダサいポーズではありましたが)
紫龍たち青銅聖闘士と互角っぽい戦いをしていたマルス四天王も、アテナの小宇宙一発でやられていました。
そんなら一々聖闘士を戦わせる必要なかったんじゃね?
マルスが星矢のパンチを食らったとき、地下では"聖なる魔女"が遠い宇宙にある闇の小宇宙を呼び寄せました。
闇の小宇宙を食らったマルスまでダメージを受けていました。敵も味方も知ったこっちゃねえとばかりに闇の小宇宙を呼んだメディア。完全に呪い屋です、ありがとうございました。
隕石のように落ちてきた闇の小宇宙を食い止めるアテナ。その後ろには二人の赤ん坊が。
戦う前に民間人を避難させなかったのか不思議で仕方ないのですが、赤ん坊二人はアテナの盾になった後ろでまず光の小宇宙をふんだんに浴びます。
その後、光牙だけは飛び散った闇の小宇宙に取り込まれそうになり、チアノーゼのような状態に。
光牙の光と闇の両刀遣いの設定はこういうことだったわけですね。
光オンリーの赤ちゃんをゲットし、ご満悦なマルス。
闇の小宇宙を食らってダメージを受けた様子でしたが、すっかり闇の小宇宙になれた模様。
その後、強大な闇の小宇宙を得たマルスは、第1話冒頭の戦いを挑み、更にその後、三度目の正直でアテナをゲット。火星の肥料にすることに成功した、ということのようです。
「そんな世界は要りません!」
と親父に襲いかかるエデン。
そんな攻撃を片手一本で止め、あしらうマルス。
「強くあれ、エデン! 私を見よ!」と仮面が割れた、その下の素顔を見てエデンは愕然とします。
「父ちゃんの顔、燃えてるっ!」