アレキサンダー大王の秘書官の物語。ってチョイスが渋すぎ!故郷カルディアに戻ってきた青年エメネウスは過去の回想を始め…裕福な家庭で何不自由なく育っていた彼は、毎晩蛮人(バルバロイ)の同じ夢を見るのだが…(crossreview)
アレキサンダー大王の秘書官・エメネウスの物語。人物のチョイスが渋すぎます。
冒頭、青年・エメネウスは、ペルシアに追われるアリストテレスと出会います。思わせぶりな伏線と、余計な説明を一切しない淡々とした進行。この時代に詳しくないとちょっと不親切のようにも思えますが、一方で当時の文化等についてはものすごく丁寧に説明がなされていたりもします。ただ、時代背景的な説明がなされないことで、逆に読み手はそこに描かれている時代がどういう時代なのかを追うようになり、いつしか読み手は物語の世界に引きずり込まれていきます。これ、狙ってやってるのなら凄すぎます。
その後、程なくアリストテレスと別れたエメネウスは、生まれ故郷・カルディアに戻ります。ここでも突然、カルディアがマケドニア軍に囲まれているというとんでもない状況。そこでエメネウスは、マケドニア軍の狙いを察知し、街に戻れない老婆を利用して見事マケドニア軍をかわしてカルディア城内に戻ります。
この時マケドニア軍が「アララララーーイ!」と叫びますが、これをヒントに生み出されたのが藤崎マーケットの「ラララライ体操」だったりします(ウソ)。
廃墟と化したかつてのわが家で、エメネウスは幼少期を思い出します。ここから幼少期の回想になるわけですが、ヒエロニュモス家の御曹司として何不自由なく育つエメネウス。しかし、彼は毎夜同じ夢を見ます。それは蛮人(バルバロイ)の女が舞うように戦うも、こちらを見た瞬間に動きが止まり、敵に惨殺される、というものです。それは、エメネウスの出自を象徴する夢なのですが…
本巻だけでは本作の面白さはわかりにくいかもしれません。が、じわじわと伏線をはる展開ですが、その伏線がかなり丁寧に描かれているので、次巻以降で話が展開し出すと一気に面白くなること請け合いです。