テレビアニメ放映開始から20年ぶりに聖闘士星矢の新作「聖闘士星矢Ω」の放映が始まるからだ。
三つ子の魂百まで。小学校一年生の頃、学童保育のケンイチ兄ちゃんに作ってもらった段ボール聖衣（クロス）を嬉々としてまとい、近所から乞食少年と陰口された頃の血が騒いだか、それとも新たな聖闘士（セイント）・光牙（コウガ）の小宇宙（コスモ）を感じたか…
そんな思いを抱きながらテレビを付けたら…ありゃ？ まだやってない。
…単純に先走っていただけのようです。
気を取り直して6時30分からの放送を視聴。
アテナ（城戸沙織）が、聖域（サンクチュアリ）の石造りの神殿で赤ちゃんと遊んでます。赤ちゃんを遊ばせるには正直いかがなものかと…って、あれ？ 絵柄がハートキャッチ・プリキュアっぽい…。
「俺の知ってるアニメ星矢と絵柄が違う！」という違和感は言っても詮無いことだし、そのうち慣れるだろうから、と飲みこむことに。
そこに敵（マルス）登場。体がギャラクシー。
それにしても、聖域のセキュリティが脆弱すぎます。
堂々と敵の侵入を許している上に、星矢以外に人がいないという、問題山積状態です。
確か冥王ハーデス十二宮編で、ムウ様が「聖域は神話の時代よりアテナの小宇宙に守られているから、何人も己の二本の足で十二宮を突破するしかない」と解説していました。神話の時代より守っているはずのアテナの小宇宙はどないなってるんでしょうか。
ただ、このアテナの小宇宙は旧作から当てにならないことが示唆されています。十二宮編ではカシオスがいきなり獅子宮に現れ、一輝はカノン島で腕を回復させた後、いきなり処女宮から参戦し、魔鈴さんとシャイナさんは双魚宮と教皇の間の間にしれっと登場して星矢を救っています。当の冥王ハーデス十二宮編においても、双子座のサガの弟・カノンガアテナ神殿にいきなり侵入。「ボディーガードで使うてつかぁさい」とアテナに直談判してミロにボコられていたりします。
…などど余計な事を考えているうちに、星矢は敗色濃厚、アテナも左肩が宇宙な感じに感染させられていました！
このときアテナが面倒見ていた赤ん坊が光牙。
大きくなって、多分原作と同じ13歳くらいの設定か。時は流れて、シャイナさんに聖闘士としておもっくそ鍛えられています。
そうか、星矢が命を賭して守った（ま、最後の方に星矢も例によって復活するんだろうけど）光牙をシャイナさんが鍛えてるのか…胸熱です。
「聖闘士になんかなりたくねぇ！」と反抗気味の光牙ですが、「俺を助けて死ぬって、星矢って奴も大バカ野郎だぜ」の一言にブチ切れるシャイナさん。
いや…キレすぎですよ（＾＾；）
でも、切な萌えますね。（後のシーンで出てきますが、光牙が沙織さんに懐いてるのを見て、ため息をつくシャイナさんに、これまた萌えてしまいます）
シャイナさんの聖衣の乳房の部分が尖りまくっているのが若干気にはなりますが、おそらく三十路になんなんとするシャイナさん*のこと、ロケット乳的な大人の魅力を身につけたものと解釈しておきます。
* シャイナさんの年齢…『聖闘士星矢大全』によると、当時の年齢設定が16歳。ハーデス編終了後数年（とりあえず5年としておきます）経って、２～３歳くらいの光牙と遊んでいるアテナがマルスに襲われて左肩宇宙創を負い、そこから10年くらいとすると、ちょうど30歳くらいになるものと推定されます。この間に他の神々との戦いがあったとするなら、その分だけシャイナさんは粋な年増となります。そうそう、シャイナさんと言えばアニメ聖闘士星矢本編の音楽監督をされていた横山菁児さんのインタビューを思い出します。せっかくなので、聖闘士星矢・冥王ハーデス冥界編・前章のDVD2巻に収録されているスペシャルインタビューから該当部分を起こしておきます。
■印象に残るキャラクター
まつざわゆみ：横山さんは？
横山：僕はシャイナ。 誰が何と言ってもシャイナ。
まつざわ：あ、意外なところに…
横山：うん。
まつざわ：それは何でですか？
横山：あのシャイナのキャラクターが最初に出てきたときはものすごくしびれて、僕すぐ電話して、セルもらいましたもん。シャイナの。ええ。
まつざわ：でも魔鈴さんもいますよね？ 強いといえば…
横山：うう～ん、魔鈴もそらいるだろうけども、何言っても、やっぱり……シャイナだなぁ。お歳を召した横山先生がしみじみと、だけど静かに燃えるような情熱をたたえながらシャイナさんに対する思いを語る姿に爆笑してしまいました。
冥王ハーデス冥界編以降のアニメは、声優交代劇だけでなく、アニメの質が紙芝居であること、あと東映アニメーションからエイベックスモードに版元が移ったなどで酷評が目立ちますが、この横山先生のインタビューが収録された時点で全部OKだと私は思っています。
…シャイナさんについて熱く語りすぎてしまいました。
あと、何気に辰巳がロマンスグレーの口ひげをたくわえ、やんちゃな光牙とコメディタッチで戯れている姿を見て「丸くなったもんだ」とこれまた胸熱。
かつて、アンドロメダ島に行かされる瞬を助けようと脱走を試みた一輝（当時9歳）を高手小手に縛り上げ、船の天井から吊して鉄パイプで何度も殴打し、瀕死の状態のままデスクイーン島までに送った人とは思えない好々爺ぶりです。
それにしても、周囲の人間の接し方を見るにつけ、光牙がふてくされるのも無理はないと思ってしまいます。
光牙の供述からすると、この人達は、
「聖闘士になれ」
「アテナを守るため」
「お前は星矢に助けてもらった」
「アテナについては秘密」
と情報が断片的すぎるのです。話の核心を教えてくれないこの大人達の態度こそが、光牙の不信を生む元となっているのです。
そして「後はいずれわかる」って、そりゃ光牙からしたら納得できるか！って話になります。「スチュワーデス物語」の風間杜夫やないんだから、「そのわけは…今は言えん！」では光牙も納得できなくて当然でしょう。
と、そうこうしているうちに、どうやら星矢が相打ちっぽく倒したマルスが復活したようです。
早速アテナがマルスに襲われます。
アテナをシャイナさんが身を挺して守りますが、お約束のマスク割れ。
「女が聖闘士になるには女を捨てなければならない→女を捨てるとは具体的には仮面をかぶって素顔を隠すこと*→女聖闘士にとって素顔を観られることは裸を観られるより恥ずかしい」という、おそよ承服不可能な三段論法で『聖闘士星矢』の女性お色気と精神的羞恥プレイを一手に引き受けたシャイナさん、三十路になっても貫禄の脱ぎっぷりです。
*女性向けのクロス…鷲座・蛇遣い座・カメレオン座は女性の聖衣なのだが、これボディラインをむしろ強調するデザイン。そう言えば、蛇遣い座が黄道に加わった十三星座になると僕は射手座から蛇遣い座になるのですが、黄金色に輝くシャイナさんのあの聖衣を着なければならないのでしょうか…シャイナさんがお脱ぎになった直後の奴をお願いします。沙織さんがアテナとわかり、シャイナさんとアテナがマルスに苦しめられている所で小宇宙爆発。
ここでその小宇宙に反応し、沙織さんからもらったペンダントが発動。
どうやらこれが天馬座（ペガサス）の聖衣のようで、これ変形し、光牙はペガサスの聖衣を身にまといます。
ここでチュートリアルモード発動。
先生役の星矢が登場します。
星矢は、「光牙、小宇宙を燃やすんだ！」と禅問答のようなヒントしかくれません。
が、光牙は「小宇宙…」とこの難解なヒントを見事理解し、当然のように小宇宙を燃やし、当然のようにペガサス流星拳を放ちます。
ちょっと駆け足（というよりイヤボーン？*）な感じがしましたし、本作で初めて聖闘士星矢を知った人は半分以上置き去りなんじゃないのか？ とも思われます。
が、基本的に前作での予習を前提としている姿勢は、このアニメを見るメインの層からすると、ある意味潔いのかもしれません。日曜朝6時半から聖闘士星矢Ωを見る層を考えれば、旧作からのファン層を想定する方が良いようにも思われます。
*イヤボーンの法則…エスパーまんがにおける法則。ヒロインがピンチに陥り「イヤァッ!」と叫ぶと眠っていた「能力」が覚醒し敵の頭が「ボーン」と破裂する。読者に超能力の威力を見せ、話を先に進めるためのわかりやすいパターン。（Wikipediaより）第一回を視聴して感じたのは、「思ったよりもイケる」でした。
『エピソードＧ』や『冥王神話』などのスピンオフ作品により、車田星矢の画風に対する固執もなくなっていました。アニメ「聖闘士星矢・冥王ハーデス冥界編（前章・後章）／エリシオン編」の声優変更により、声の違和感もなくなっていました。これらのお陰で、すんなりと新シリーズ（別物）として受け入れることができました。
どんなにつまらなくても「星矢税」として見続けようとは思っていましたが、素直に次の展開が楽しみです。
《あらすじ》 第1話 星矢が救った命！甦れ聖闘士伝説！
数々の邪悪から、この地上を守ってきたアテナと聖闘士たち。そのアテナと聖闘士に新たな邪悪、マルスが襲いかかる。マルスと戦う射手座の黄金聖闘士星矢は、ひとつの幼い命を救った。その幼子の名前は光牙。そして、その戦いから幾年も経ち、光牙はたくましい少年へと成長、聖闘士になるべく修行の日々を送っていた。今日も沙織の見守る中、光牙はボロボロになりながらも特訓を受けていたが、そこへ復活をはたしたマルスが迫る！
（公式サイトより）
