ただ、最後のアリアの女神っぷりを観ていると、アテナの人質感が半端ない…
《あらすじ》 第51話 輝け光牙!光と闇の最終決戦!第1期の最終回、マルスたちと戦ってきた一年の総決算ということで、OPテーマのアニメが総集編になっていました。これはずるいわ…サビに入る部分でアリアの死を重ねられたら、テンション上げるなと言う方が無理です!
星矢から射手座の黄金聖衣を借り、沙織を助けるためにアプスを追った光牙。そこはアプスの支配する、光さえ輝くことのない闇の世界だった。だが、あきらめない光牙は闇の海を抜け、沙織が囚われた闇の城へとたどり着く。そして、希望を捨てない光牙の光の小宇宙が輝き、最後の戦いが始まった。すべての光を消し去ろうとするアプスの攻撃で何度、倒れようとも立ち上がる光牙だったが、ついに射手座の黄金聖衣が破壊されてしまう!
(公式サイトより)
OPアニメを観ていると、あまりの格好良さに、「星矢Ωって、こんなにいい話だったっけ?」と思っていた自分がいました。
アテナを救うべく、アプスのいる闇の中に飛び込んだ光牙。星矢から借り受けた射手座の黄金聖衣をまとっていますが、神相手に黄金聖衣が役に立たないのは冥界編で死の神・タナトスが証明済みです。
大丈夫かなぁ…と思っていたら、案の定です。光牙はアプスに闇の小宇宙を燃やされーの、攻撃を受けまくりーのでフルボッコにされます。
(いつの間にか腰に金の飾りをつけ、ドレスアップしている神質(かみじち)・アテナ)
アプスは、神質であるアテナに語りかけていました。
「我が生みし世界を奪った神々も、残すは貴様ただ一人」…オリンポスの他の神々はどうなったんでしょうか?
こう言われて気になり出すのが、聖闘士星矢の世界における「神の生死」の概念です。
海皇ポセイドンや冥王ハーデスは、アテナに魂を封じられていました。とすると、封じた側のアテナは、その身体が生身の人間である以上、いずれ寿命を迎えます。どうやら魂は死なないようですが、数百年に一度降臨するというその間の時間、魂はどこでなにをしてるんでしょうか…。
更に言うと、243年前の聖戦の後、ハーデスを封じた戦後すぐに、どうにかしてエリシオンに行ってハーデスの肉体を壊しちゃえば良かったのでは…と野暮な問いが次から次に頭に湧いてきます。
邪念を振り払って最終回に戻りましょう。
アプスの闇の小宇宙に腕を焼かれる光牙。
『幽☆遊☆白書』で似たような技を使う邪眼師を見かけたような…
もうこれ以上無い、というくらいボッコボコにやられます。
しかし、もう限界だと思った所から小宇宙を燃やして逆転するのが聖闘士星矢(車田マンガ)の王道パターン。第一期の最終回だからか、これ以上無いくらいの迫力で、手に汗握りました。
(が、一方で、「これ以上引っ張られることもないだろう」と余裕をかまし、「もっと、もっと追い込んで!」などと無慈悲なことも頭の片隅で思ったりもしていました)
火星に残る仲間たちが、魔傷がしゅむのを省みず、小宇宙を燃やして光牙に届けます。
おきまりのパターンではありますが、やはりグッとくるものがあります。
みんなの小宇宙を受け取って、更に小宇宙を燃やす光牙。
(腕が白く光ってます。シャイニング・アームです)
渾身のペガサス流星拳をぶち込み、遂にアテナを救出します。
こうして光牙が沙織さんをお姫様だっこしていると、時の流れというものが残酷だと改めて思わされます。
(ちなみに星矢がジャミアンから沙織さんを救い出したのは、お互いが13歳(!)の頃)
追いかけてくるアプスから、アテナを逃がします。
アテナを先に行かせ、アプスと戦う光牙。
アプスの一撃を止めたのは、これまで意味ありげにカタカタ揺れていたアリアの杖の残骸でした。
アリアの杖が粉微塵に砕け散ったとき、周囲は光に包まれます。
そしてアプスは、そのまばゆい光の中で遂に消滅しました。
この鉛筆画のような白い世界、「天元突破グレンラガン」のキタンの最期を思い起こさせます。
(しれっとお姫様だっこしている星矢。この赤いTシャツとGパン姿を、21世紀のアニメでも拝めようとは思ってもみませんでした)
溢れる光の中にいる光牙。
その中で、光牙はアリアと再会していました。
「この世界を救ってくれてありがとう、光牙」
そう言って光牙に抱きつくと、消え去る前にアリアは最期の光をもたらします。
それは、地球上に降り注ぐ光で、亡きマルス(ルードヴィグ)の顔の傷や、亡きソニアの体の傷、そして聖闘士やアテナの体に残る魔傷を消し去るものでした。
(アリアの光を浴び、癒されまくりの絶頂射精な表情を浮かべるエデン)
アテナも「神さんのおしめりじゃ~」とばかりに光を浴びて身体の魔傷(銀河創)を消してましたが、
それ、本来お前が果たすべき仕事やなかったんか、とここに来てまた残念な疑問が首をもたげてきました。偽アテナと言われたアリアの方がよっぽど女神らしいことしとるがな、と。
そして、光の中から光牙が戻ってくるところで話は終わるわけですが、その光牙を待ち受けるのがユナのこの表情。
ユナと光牙のアップで物語は幕を閉じました。
しかし、こうやって最後にこの二人でしめられると、この作品の構造が改めて浮き彫りにされます。
・光牙…ヒーロー兼ヒロイン(闇モード時)遂にマルス等との戦いに決着がつきました。はじめは懐かしさから観ていましたが、途中からツッコミと妄想が占めるようになりました。
・ユナ…ヒロイン兼ヒーロー(男共が不甲斐ない時)
・アリア…ヒロイン→女神
・蒼摩・龍峰・栄人…愉快な仲間たち
・エデン…ライバル→ヒッキー→愉快な仲間たちの副長
・星矢…サポートしてくれるお兄さん
・マルス…副ラスボス(=大神官ハーゴン)
・アプス…ラスボス(=シドー)
・メディア…陰謀倒れ
・アテナ…憧れの女性→いつもの神質→いつも以下の人質
毎週熱いテンションで追いかけるものの、後で全体を振り返ると、「よくよく考えたらアリアって何やったんやろう?」など疑問がますます膨らみます。でも、それこそが聖闘士星矢! そういう意味では本作もしっかり聖闘士星矢だったと思ってます。
次からは第二期が始まります。鋼鉄聖闘士(スチールセイント)と聞いた途端、私の胸に闇の小宇宙がざわめきましたが、光牙のように、闇を恐れずに次回を待ちたいと思います。