2013年3月4日月曜日

[紹介] 村西とおる『村西とおるの閻魔帳』

身も蓋もない暴露、容赦ない指弾、あられもない下ネタ、それらが著者独特の言葉遣いとレトリックを駆使して語られています。まさに「声に出して読みたい…けど読めない日本語」(笑)。これ、出版して大丈夫なの!?(crossreview

 ブログ時代からずっと読んでましたが、改めて活字になったものを読むと、「よくこんな内容の本を出版できたな(笑)」と驚かされました。

 著者のあのインチキ臭い丁寧口調はそのままに、世相を斬ったり、含蓄のある昔話を語ったり、とある意味やりたい放題。
 陣内智則と藤原紀香の離婚の「真相」、ラジオ「サイキック青年団」打ち切りと北野誠謹慎の真相、酒井法子の事件の裏側など、どこまで本当かはわかりませんが、普通なら訴訟沙汰になってておかしくない話ばかりです。
 が、著者いわく「私としては誰か訴えてこないかなと手ぐすね引いて待っておるのでございますが、これが梨の礫なのでございます」だそうです(笑)。ま、下手に相手をすることで注目を集めてしまうよりも、無視することを相手方が選んだということでしょう。

 スキャンダラスな内容が多分に含まれているのは確かですが、単なる暴露ネタで終わっていないのは、波瀾万丈の人生経験とそれを描き出す知性と筆力のなせる技です。その深さ・濃さは、まさに「昭和芸能界の裏面史」で、石原裕次郎を支えた男の話には読んでいて胸が熱くなりましたし、最後までプロレスラーであり続けることを守ろうとした剛竜馬の話はあまりにも切なかったです。

 著者の名前だけでイロモノと決め打つなかれ、です。確かにエロや過激なスキャンダルネタも収録されていますが、一方で昭和の芸能界の知られざる珠玉の物語も詰まっており、エロ・スキャンダルから深イイ話まで、とにかく振れ幅がハンパない!

 ちなみに、現在は有料メルマガになっており、毎週火曜日に10000字を越えるメルマガが配信されています(これはこれで読むのが大変だったりします)。
 が、以前、4回連続で1か月にわたりジャニーさんの話が届いたときはどうしようかと思いました(笑)。

 正直、読み手を選ぶ本だとは思いますが、個人的にはオススメです。