鋼鉄聖闘士自身にあんなこと言わせちゃいかんと思うのであります!!
それにしても、足手まといの鋼鉄聖闘士を無駄に派遣した大本営は一体何を考えているのでしょうか?
《あらすじ》 第66話 鋼鉄奮闘!名も無き勇者たち!パラスベルダに侵入し、パラサイトの雑兵たちを必殺技の大盤振る舞いで蹴散らす蒼摩。
パラスベルダで繰り広げられる聖闘士とパラサイトの戦い。そこには大勢の鋼鉄聖闘士たちもいた。その鋼鉄聖闘士の一人、ケリーとエマも必死でパラサイトと戦っていたが危機におちいる。その危機を助けに現れる蒼摩と昴。しかし助けられたことで、エマは自分たち鋼鉄聖闘士がこの戦いに参加していることに疑問を抱く。自分たちが足手まといではないかと悩むエマの前に、三級パラサイトのロゲと、そのしもべパラサイトビーが現れた!
(公式サイトより)
雑兵相手に「雑魚共はく引っ込んでろ!」と息巻く姿を見ていると、前期でセブンセンシズに目覚めた聖闘士の振る舞いかよ…と鼻白みかけましたが、「お前だけに良い格好させるかよぉ!」と蒼摩の後を追いかけるだけの昴を見て完全に鼻白みました。
蒼摩が蹴散らした後に残った生き残りは、後続の鋼鉄聖闘士舞台がとどめを刺します。
「青銅さんは勇ましいねぇ」とつぶやくケリー。そして、蒼摩の突撃隊長振りに複雑な思いを抱くエマ。
今回は鋼鉄聖闘士の思いの丈がテーマです。何と残酷な回…
パラスはアテナのエネルギーを吸って少し成長した模様。
幼女から少女へ…色々語弊のある表現ですね(汗)。
そんなパラスに「その美しさ、まるで夜空に輝く月か、青空を彩る虹のよう。あるいは温室に咲く一輪の花」とベタな褒め言葉のラッシュを繰り出す二級パラサイト・エウロパ。
太鼓持ちパラサイトとして、今度サバンナの高橋さんと戦って欲しい所です(おそらく高橋さんがダブルスコアで勝つと思われます)。
「構わなくってよ」とお嬢様じみた言葉遣いに変わってきたパラス。
アテナの小宇宙を吸収するとそういう部分も成長するのでしょうか。
しかし、当のアテナが、かつての凜とした声・話し方からからしょこたんみたいな声・話し方になっているので、アテナの小宇宙を吸収してもそんなにお嬢様にはなれないと思うんですが…
鋼鉄聖闘士軍団は、橋の上でパラサイトの雑兵と集団戦を戦っていました。
遮蔽物のない橋上に土嚢を積み、進撃してくる鋼鉄聖闘士を弓矢で押し返そうとするパラサイト雑兵軍団。これに対して、狙い撃ちを避けるために散開を指示する鋼鉄聖闘士のリーダー。
雑魚扱いされる彼らの方が、よほど戦略・戦術を踏まえて戦っています。
エマを連れたケリーは、ゲリラ的に一撃を加え、敵の反撃が来る前にその場から逃げます。
「弱者の兵法」などと揶揄するつもりはありません。
ケリーの戦い方は無理をしない、非常に合理的な戦い方です。
しかし、ケリーに言われてただついてきただけのエマは、「どうしてこんなコソコソしなきゃいけないのです?」と舐めた口をきいてきます。
「決まってんだろ。俺ら鋼鉄聖闘士は奴ら4級パラサイトよりも弱いからだ」
パラサイトの雑兵が4級パラサイトであることがわかったことも収穫ですが(この点、アテナの軍団をはじめ、ポセイドン・ハーデス軍も雑兵に対して「雑兵」という呼称しか用意していないのは、彼らのモチベーション維持や忠誠心・帰属意識醸成の点からしても疑問です)、それにしても、作中の登場人物に何てこと言わせるんでしょう!(笑)
「そんな…奴らは敵じゃ一番下っ端なんですよ! なのに…私たちはそれより弱いだなんて…」
エマは不満を漏らしますが、事実そうなのだとしたらそれは仕方の無いことです。その事実を変えたければ敵より強くなるしか無く、むしろ弱いなりに戦い方でその弱さをカバーしているケリーを責めるのは筋違いもいい所です。というか、本当に足手まといになるこんなエマのような奴を戦場に駆り出したグレート・ティーチャー達は何を考えているのでしょうか。戊辰戦争時の会津藩レベルで兵隊が足りないのでしょうか、アテナの聖闘士は。
敵に発見されたケリーとエマ。危うい所を救ってくれたのは、蒼摩のフレイム・デスペラートの炎でした。
助けに来てくれたは良いものの、ここぞとばかりに雑魚を蹴散らした自慢を始めるウザい蒼摩。その発言の一々にデリカシーがなく、ウザ言葉の一つ一つが雑魚いエマの神経に障ります。
「何で…何でヘラヘラ笑っているんです?
遅く来ておいて格好つけないで下さい。
あなたがもっと早く来てれば、こんなことにはならなかったのに…」
(エマの言う「こんなこと」の図)
「そりゃ八つ当たりってもんだぜ。これでも全速力で駆けつけたんだぜ。
だいたいさぁ、それ言ったら、パラサイトの下っ端相手にピンチになるお前らが悪いんじゃねえか。
どんだけ先に行ったって、鋼鉄聖闘士を助けるために引き返さなきゃいけなかったらさ、俺たち全然進めねぇだろ」
昴も”発言をオブラートで包む”ということを覚えた方が良いと思いますが、これこそ真実が一番人を傷つけることの最たるものでしょう。エマが激高するのも、昴が言ったことが何一つ間違っていないからです。
ただ、エマの反論で一つだけクリティカルなものがありました。それは、
「自分も鋼鉄(スチール)のくせに!」
そして、うなだれたエマの口からとんでもない台詞が!
「ケリー先輩…私たち鋼鉄聖闘士って、本当に必要なんでしょうか?」
この脚本を書いた人、残酷すぎます。視聴者みんなが思っていたことを、当人の口から言わせるなんて…((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル
鋼鉄聖闘士のアイデンティティという非常にセンシティヴなテーマで展開していたケンカを仲裁してくれたのは、敵方の3級パラサイト・ロゲでした。
タイマン勝負と思いきや、敵はパラサイト・ビーを使うロゲ。
「援護します!」と蜂追い係を買って出るケリーとエマでしたが…
蜂に倒され、完全に足手まといです、エマ。
そんなエマを心配した蒼摩。その隙を突かれて、蒼摩は大ダメージを負ってしまうのでした。
「君は仲間の使い方が下手だねぇ。そんなんじゃいずれ戦場で一人きりで死んじゃうよ」
と、的確なアドバイスをくれるロゲ。
とどめを刺されそうになった蒼摩は、ケリーの機転で辛くも死地を脱出します。
ロゲは蒼摩の指揮を問題にしていましたが、本当の問題は聖闘士とパラサイトの戦闘の質を見誤り、強い駒が一枚あれば雑魚はいくらでも蹴散らせる「軍人将棋」型の戦闘に、員数合わせの半人前を大量に送り込んだ大本営(聖闘士首脳部)にあります。
いい加減、黄金聖闘士を聖域守備の名目で遊軍とし、ショボい戦力で遠征に出て若手の確変に期待するというデタラメな戦い方を根本から見直すべきです。この際、テレンス・リーでいいからパライストラに招聘すべきだと思うんですよ、私…。
しおらしく自分の無力を詫び、看病してくれるエマに対して、蒼摩はここでも空気の読めない発言をします。
「油断した俺が悪いんだ…元々アテになんかしてねぇさ」
「居ても邪魔なだけだ、足手まといだ、そうおっしゃってるんですよね?」
「そんなこと言ってないだろう」と蒼摩は言いますが、これはさすがにそう言ってると取られても仕方の無い発言です。
「わかってるんです! どうせ私たちは弱いし、足手まといなんです」
蒼摩を庇う昴を「あなたはバカだからわからないのよ」と、サラリととんでもない言葉で切り捨てた挙げ句、遂にエマは言ってはならない疑問を口にします。「鋼鉄聖闘士って、何のためにいるの?
鋼鉄聖闘士って、本当に必要?
ただの青銅(ブロンズ)の引き立て役なの?」
麻生さんの「失言」なんかより、こっちの方がよっぽど大問題です!
エマをクールダウンさせるために、歩哨を命じるケリー。
その迫力は感情を高ぶらせていたエマを黙らせるだけの威圧感がありました。
エマと昴が外に出た後、ケリーは蒼摩にエマと自分の話をします。
エマは目の前で何も出来ないまま故郷と家族を失い、それ故、人の役に立ちたいと思う気持ちが強いそうです。気持ちが先行して実力が伴っていないだけで、悪い子ではない、ということです。(ちなみに、こんなエマみたいな人のことを、心ない人は「真面目系クズ」と呼ぶようです。この分類名を考えた人と、これを躊躇無く人に使える人は真面目系クズよりよっぽど人間のクズであることは間違いなさそうです)。
と、「俺はそんなつもりで言ったんじゃない」とこの期に及んで更に強弁する蒼摩は、国語の勉強をした方がいいと思います。パライストラで非常勤講師ぶってる場合じゃありません。
エマと違って「エマよりもシンプルだ」というケリーの事情は、ケリーの言とは裏腹に複雑です。マルスのせいで妻子を失い、それ以来全ての神が憎く、神(アテナ)の子分である聖闘士も憎いというケリー。
「俺にとって、アテナもパラスも、マルスもアプスも、全て憎い神なんだ」と言うのに、アテナの聖闘士の子分の更にサポートに志願して足手まとい扱いされながらゲリラ戦を展開し、戦略レベルでの失策を戦術レベルの戦果によって少しでも取り返そうとするケリー。彼の振る舞いをどうつぶさに検討しても、合理性が見いだせません。
ロゲに発見され、建物を包囲される蒼摩たち。
ピンチの状況でも熱い言葉を吐く蒼摩(紹介は割愛)。
その心意気に打たれたのか、さっきまで「俺は神の言葉は信じねぇ」と言っていたケリーが「鋼鉄聖闘士の戦いを見せてやろうぜ!」と発憤します。
支離滅裂と言って切り捨てるには、ケリーというキャラはもったいなさ過ぎます。ケリーが何を思いながら妻子を亡くしたいい年でガキに混じりながら鋼鉄聖闘士をやっていたのか、もうちょっと時間をかけて描いて欲しかったところです。
ロゲの蜂遠隔攻撃は鋼鉄聖闘士たちがブロックしてくれます。
味方が必死に戦っている中、「ロゲの言うとおりだ。自分一人で戦っていたと思っていたけどそうじゃない、背中を守って一緒に戦ってくれる仲間がいたんだ」という気づきと熱い思いに酔いしれる蒼摩。ごちゃごちゃ言ってないで早く戦って下さい。
蒼摩がラス1のライオネットボンバーを外さぬよう、ロゲを後ろから羽交い締めにするケリー。
ラディッツ戦でピッコロの魔貫光殺法が外れないよう、悟空がやったアレです。
ロゲの動きを封じるため、万全を期す意味でスチールハリケーンを指示するケリー。
最近アニマックスで放送されている旧作を見ていますが、お恥ずかしい話、このスチールハリケーンは全く記憶に残っておりませんでした。
(悟空と違い、一緒にやられないよう脱出していたちゃっかりタメ夫なケリー先輩)
エマも「自分の役割」を見つけられたようです。
これからも青銅のサポート、頑張って下さい。ただし、その前に実力をつけましょう。
一件落着、と思いきや、パラサイト・ビーのデカいのが生き残っていました。
隙を突いて死角から蒼摩に襲いかかります。
いち早くそれに気づいたケリーは、身を挺して蒼摩を庇いました。
今回、二度に渡る蒼摩の油断と、二度ともその尻ぬぐいをしたケリー。
人の強さがどうとか、人の力だとかズレたことを言い合っている昴と蒼摩ですが、それ以前に油断を猛省すべきです。
ラストのシーンは、光牙とエデンが対峙するところでした。
これは展開が読めません。パラスベルダの位置をちゃんと報告しなかったエデンに対し、星矢がダメ出しするのでしょうか。