2013年7月31日水曜日

[紹介] 宮下英樹『センゴク』(2巻)

織田家中の試し合戦では、戦の様子(弓と槍衾)について解説しつつ、竹中半兵衛の奇策で読者の知的興奮を刺激し、そこから可児才蔵vs仙石権兵衛の熱いバトルへ…と、その流れが見事!蘊蓄に頼らないところがイイ!(crossreview

 リアル合戦絵巻の第2巻は、織田家中の試し合戦から。
 織田家中で一番弱いとされていた木下籐吉郎の隊が、竹中半兵衛の奇策により、織田家最強の呼び声高い柴田勝家の隊と互角以上に渡り合う。ここで戦国時代の合戦の仕方(弓と槍衾)が説明されていて、戦国時代のチュートリアルとしても良く出来ている。が、それ以上にオリジナルの策略という知的な面白さ、そしてそこからバトルの面白さへと展開していく流れは見事。
 これは学習マンガ一般にも言えることだが、興味深い知識をマンガという体裁に盛り込んでも必ずしも面白くなるわけではない。ストーリーや展開など、マンガそのものの面白さがないと、いくらトリビアルな知識ばかりを詰め込んでも面白いマンガとはならない。この点、本作はそのバランスがよく、「知的好奇心"も"かき立てられる、戦国マンガ」に仕上がっている。

 後半では、遂に信長が上京。有名な「一銭斬り」が描かれている。
 それはいいんだけど、個人的にちょっと苦手なのが仙石権兵衛とお蝶のラブロマンス。読んでてヤキモキさせられる、すれ違い系のラブロマンスがどうにも苦手で…。というか、熱いバトルとマニアックな時代考証を売りにしつつ、一方でラブロマンスを絡められるのが、「キムチのキャラメルがけ」みたいな感じて個人的には抵抗ありまくりです(笑)。