大富豪の老女を誘拐した身代金がなんと百億円!しかもテレビ中継下での引渡し。事件全体のスケールがとてつもなく大きくて爽やか。週刊文春ミステリーベスト10の20世紀国内部門第1位に輝いた、掛け値無しの名作。(crossreview)
1990年、本書の映画が公開されたとき、本書の大ファンだった親父に連れられ、家族で観に行ったのが本作との出合いでした。
子供心に一番印象に残った作品で、数年経ってからも浜村淳さんのように(笑)あらすじを語ることができました。
親父は推理小説が好きで、うちに山ほど推理小説を遺してくれましたが、母曰く、本作が一番好きな小説だったそうです。
そう言えば、映画を見終わった後、「実はな、あれはな、原作ではこうこうこういう説明がちゃんとあってやな…」と僕に熱っぽく語っていたのを覚えています。
親父の本棚にあったのは知ってましたが、実際に原作を手にとって読んだのは二十歳を過ぎてからでした。大人になった頃に映画を観直したことはあるんですが、原作を読んで映画の"行間"を知ることができました。なるほど、そりゃあのとき親父が熱っぽく語るわけだ…と遅まきながら納得。
…と、ここまで一切内容に触れてませんが、正直、説明するのを躊躇してしまいます。というのも、本作は是非事前情報無しで楽しんで欲しいからです。
が、それでは流石にアレなんで(笑)手元にあるカイガイ出版・1978年刊の四六判についてる帯の文句をご紹介いたします。
かつてないスケール、度肝を抜く犯行の手口、
老婆の命に百億円を賭けて誘拐犯は忽然と消えた!
紀州随一の大富豪の老女が誘拐団に拉致された。週刊文春ミステリーベスト10の20世紀国内部門第一位にも輝いた、掛け値無しの名作。ご存じない方は是非一読を!
その身代金がなんと百億円、犯罪史上前代未聞の巨額である。
そればかりではない。犯人との折衝から現金引き渡しまで、すべてテレビ中継という全世界環視の中で行われる誘拐劇、さてその結末は……。
大ベストセラー”シャドー81”を彷彿とさせる快作である。