ちょいロリ属性の不思議ちゃんが、とぼけたことを言いつつも患者の心の悩みを当てて病を治してしまう。メンタル・クリニックを舞台に、精神分析やサイコセラピーの知識を使ったミステリ。鯨統一郎は作品の幅が広い!(
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新米臨床心理士・松本清が新しく働くことになったのが、メンタル・クリニック「なみだ研究所」。
ただ、所長の波田煌子は言ってることはとぼけてるし、精神分析の知識も極めてあやふや。松本はいつも煌子の診療に不安を抱くものの、不思議なことにそんな煌子はいつも患者の心の悩みをピタリと言い当て、病を治してしまう。
メンタル・クリニックを舞台に、精神分析やサイコセラピーの知識を使ったミステリ。
一話完結の短編が連なってなみだ研究所の物語になっています。
精神分析の知識を使った一般的な見立てと、それをひっくり返す煌子の見立ての二重構造が毎回のパターン。筆者の作品は他にもいくつか読んでいるが、長編よりもこういった縛りをいくつも設けた中で短編を重ねていく方が向いているように思います。ちょっと無理があるかな? というのも無いわけじゃないけど、制約の枠内で話をまとめる技量は毎回スゴイと思わされます。
さくっと読めて、読後も爽やか。短編集なので気軽に読めるのもオススメポイントです。
それにしても、鯨統一郎は作品の幅が広いわ~。