地上の愛と正義のために戦うアテナの聖闘士の「正義」の概念がグズグズ過ぎます。パライストラにサンデル教授を招聘し、白熱教室を開講すべきです。
《あらすじ》 第59話 兄弟の絆!アンドロメダ瞬、参戦!今回は、パラサイトに時を止められた兄・フィリップと、兄に庇われて助かった弟・レイの物語。
パラサイトに時間停止させられてしまった村へとたどり着いたユナ、蒼摩、龍峰は、そこで人々を守るため、たった一人で三級パラサイトのハリメデと戦うアンドロメダ瞬と再会する。しかし、兄フィリップを目の前で時間停止されてしまった少年レイは、聖闘士を信用できず、その激しい怒りを瞬にぶつけていた。そんなレイを優しく諭すユナ。だが、そんなレイのすさんだ心を利用しようと、ハリメデはある取引を持ちかけていたのだった…
(公式サイトより)
このパラサイトが使うクロノ・ディレイドという技は、一定エリア内の人間に効力を発揮するように思うのですが(栄斗の"聖域"ではオーディエンス全員が固まっていました)、そうすると「庇う」という行動自体が無意味なのでは? 単にレイの小宇宙が強かっただけなんじゃ…と思ってしまいます。
そんなレイの町に到着した三人。
レイを見かけた三人は声をかけますが、「聖闘士なんか何の役にも立たないくせに!」と怒って逃げ出します。
そんなレイに声をかけたのは、三級パラサイトのハリメデ。
レイの兄を元に戻す代わりに、「あること」をしろと持ちかけます。
そんなハリメデを追っ払うのは…
我らがアンドロメダ瞬です。
ここで瞬は三人に、「君たちのことは知っているよ。マルスと戦った…」と話しかけます。
が、瞬はこの三人と過去にあったことがあります。虚弱体質の龍峰なんてしばらく瞬の難民キャンプでお世話になっていたというのに、「父さんと共に戦った伝説の聖闘士…」とはじめて会ったかのように言ってました。
おそらく二期から観始めた視聴者向けの説明なのかも知れませんが、説明ゼリフにしてももうちょっと別の言い方があったように思います。
レイは瞬にキツく当たります。そしてそれを黙って受け止める瞬。
瞬が気の毒に思えましたが、事情を知れば辛く当たられても仕方ないと思い直しました。
町中の人間がクロノ・ディレイドで時を止められ、辛くも逃げてきたフィリップ・レイ兄弟は、行く手に断崖絶壁があって逃げ場を失います。
そこに助けに入った瞬。ここまでは良かったのですが、いつもの悪いくせが出ます。敵でも人を傷つけたくないから、「このまま立ち去るなら見逃してやる」とヌルいことを言った隙にクロノ・ディレイドを使われ、フィリップは時を止められてしまいます。
前回も言及しましたが、瞬のこの「誰も傷つけたくないんだ」は、ハッキリ言ってワガママでしかありません。地上の愛と正義と平和、そして地上の人々を守るのが聖闘士の使命なのに、そこに「人を傷つけたくない」という個人的な信念を持ち込み、結果犠牲者を増やしてしまっているのは、どう考えても聖闘士としての職務怠慢・職務放棄です。
また、功利主義的に考えても、瞬の優しさは欺瞞でしかありません。もしあのとき、ハリメデが大人しく引き下がったとしても、ここで救われるのはハリメデの命1つです。しかし、引き下がったハリメデは、別の場所でまた多くの人間の時を止めていたはずで、このとき犠牲になる人たちの数を数えるまでもなく、瞬はハリメデを逃がすべきではありませんでした。
前回のアテナやアリアを生き返らせるという話を聞いて逡巡する光牙もそうですが、選びようのない選択肢に一々悩んで本来的な使命に支障を来すのはやめてくれよ、と思うところです。
どうもこの手の悩みを抱えて逡巡する聖闘士が多いようなので、一度パライストラにサンデル教授を招聘し、白熱教室をやってもらうべきです。
あなたは橋の上にいます。
橋の下には線路が走っていて、向こうから電車が走ってきます。
その電車はブレーキが壊れていて、止まりません。
このままでは、線路を修理中の作業員5人をはねてしまいそうな状況です。
ふと横を見ると、隣に檄先生が立っています。彼の大きさなら、橋から突き落として線路の上に落とせば、電車は彼を轢いて止まります。
さぁ、あなたはこのまま電車を行かせるか、檄先生を突き落とすか…
…結構面白そうですね。スピンオフでいいから、一度やってくれないかなぁ。
時の止まった兄の傍らで泣きじゃくるレイ君。
心配してユナがやってきますが、そんなユナからも「放っといてくれ」と逃げ出します。
私なら、とりあえず泣きじゃくって抱きついておくところですが…実に勿体ない話です。
兄を助けて欲しい一心で、どう考えても信用できないゲス野郎・ハリメデの甘言に乗せられるレイ。
瞬の聖衣石を盗み出します。
レイがいないことに気づいたユナ。
隣で寝ている男共はビックリするくらい使えません。
レイが聖衣石を盗み出したことを知りつつも、兄さんのことを思い出して止められない瞬。
が、聖衣無しでも意外と善戦しています。
(小宇宙の力でムクムクと大きくなる(ように見えた)瞬)
このまま、ネビュラストリームでカタをつけるのかと思いきや、ここでもまた瞬の悪いくせが。
「お前が命を差し出せば、レイの兄を元通りにしてやる」という外道のウソ丸出しの交渉文句を信じ、無抵抗になります。
「誰も傷つけたくない」「他人を傷つけるくらいなら自分が傷つく方がマシ」という思いも、ここまでくると単に命を粗末にしているだけです。
あんまり瞬が命を粗末にするもんだから、レイがたまらずハリメデに向かっていきます。
こうやってまた別の誰かが危険に晒されるわけです。
とどめを刺そうとするハリメデを止めに、ユナが割り込んできますが…
吹き飛ばされてしまいます。ちゃんとセブンセンシズ燃やそうよ!
「瞬、戦って…」とレイから聖衣石を返される瞬。
ハリメデの攻撃を防いだ聖衣石は、新生アンドロメダの聖衣に生まれ変わります。
何となく「鉄の処女(アイアンメイデン)」を思わせるオブジェです。
(参考画像:鉄の処女@明治大学博物館)
今までのアンドロメダの聖衣よりもエメラルド色の割合が増えました。
どうも要所要所に球的なものを配置されると、『覚悟のススメ』の強化外骨格を思い出してしまいます。
ネビュラチェーンでハリメデを倒すも、「時は戻さないからな」と捨て台詞を残して去られました。
光牙がタルヴォスを倒した時は元に戻っていたのに、この辺はどういうことになっとるんでしょうか?
レイの瞬に対する反発もなくなり一件落着…と言いたいところですが、この男二人、今回全然役に立っていませんでした。
のみならず、瞬はこの町を守るために残るとのこと。瞬ほどの聖闘士をこんな局所的なところの守備に割いてしまうのは戦力の割り振りとしても疑問が残ります。
あんな穴蔵で避難生活させるなら、グラード財団の関連施設に避難させるなど、他にやりようもあると思うのですが…。
それよりまず、瞬は早急にハーバードへ行き、サンデル教授の講義を受けてくるべきです。この先同じ事でいちいち悩まれたらかないませんから。