一方のパラス四天王は中二病全開な名前の剣を振りかざし、こっちはこっちで色々とアレです。
"若き光牙の悩み"は吹っ切れたのでしょうか…
《あらすじ》 第58話 四天王現わる!アテナ対パラス全面対決!軍隊の野営地に現れたパラサイトの雑魚を片付ける牡牛座のハービンジャー。
パラサイトの時間侵略によって、停止されて動けなくなった人々や街が増えていった。この事態を受けて黄金聖闘士たちも聖域に全員集合、沙織にパラスとの全面戦争を訴える。悩みながらも沙織はついに戦いを決意、全聖闘士を聖域に招集した。光牙と昴も聖域に向かい、離ればなれだった青銅聖闘士たちと再会する。その一方、アテナの力を吸収して少しずつ成長を遂げていたパラスの前に、パラサイト最強である四天王が駆けつけていた!
(公式サイトより)
アテナの命により敵を掃討しているのかと思いきや、「骨の折れる音が聞きたいから」と単なる趣味でした。こういうのを趣味と実益を兼ねた、というのでしょうか。
そんな身勝手なハービンジャーの行動を止めに来た玄武。
天秤座は均衡を司る、などと言ってましたが、その実態は風紀委員に近いものとなってきました。
一方、聖域のアテナ神殿では、黄金聖闘士と御前会議が開かれています。
この場で、いきなり「姉妹の内輪もめにみんなを巻き込むのも悪いし、私が命差し出したら済むんとちゃいますか…」などとズレにズレた提案をはじめるアテナ。
「貴女が死んだら横暴な神々から誰がこの地上を守るのですか!」という真っ当な批判も聞かれましたが、「何言ってんだ」と戯れ言を一蹴したハービンジャーの一言の方が的を射たものだったと思います。
『聖闘士星矢』ではよくあるのですが、瞬にしろ氷河にしろ、すぐに自分の命をホイホイ差し出そうとする奴が多くて違和感を覚えます。おそらくその違和感の正体は、彼らが一見優しさやヒューマニズムからそんなことを言い出しているよう見えて、その実「自分が人を傷つけたくないという個人的動機(ある種の頑固さ)」や「罪悪感からの贖罪」という個人的な思想や事情を優先させているからでしょう。
今回のアテナの戯れ言も同じです。裏で星矢に
忍者をロックの世界から連れ戻した光牙と昴は、聖域の入り口でシャイナさんに出迎えを受けます。
昴の目の奥の赤い光に気づくシャイナさん(5話ぶり2回目)。旧作で瞬がハーデスに憑依され、光牙が闇の神アプスに憑依されたように、昴もおそらく敵の親玉に乗っ取られる伏線なんでしょうね。
聖域の闘技場には他の聖闘士も集結していました。
そして、全体集会の場にアテナが登場します。
アテナの右腕に巻かれているのが、妹である女神パラスがその小宇宙を吸い取る呪いのヒモです。
そのパラスは、早くアテナに会いたい、とダダをこね出します。
新生聖衣編の冒頭、地上に現れた際は、「自分はアテナを害してしまう存在だから…」などと星矢に自分を殺すよう申し向けるなど、かなり大人びた性格だったように思います。あのときの分別は何処へ行ったのでしょうか…
「今はまだアテナの力が強いからダメです」と押しとどめるタイタンに対し、「パラス様がお望みならその願いを叶えて差し上げるのが我らの使命」などと無責任なことを言い出す連中が現れます。それがパラス四天王。
(一級パラサイト 天地崩滅斬 ハイペリオン)
(一級パラサイト 武神光臨剣 ガリア)
(一級パラサイト 重爆雷斬刃 アイガイオン)
(一級パラサイト 天神創世剣 タイタン)
中二病全開な名前の剣をかざし、「我ら、パラス四天王!」とパラスの願いをそっちのけで気勢を上げるパラス四天王たち。もしかすると、ぐずるパラスの目先を変えるために敢えてこんなことをやったのかもしれません。
それにしても、車田マンガで聖剣伝説と言えば、不良の木刀に「風林火山」と彫ってある『風魔の小次郎』でしょう。「風林火山」と彫られた、いかにも京都の土産物屋に売ってそうな木刀にまつわる「聖剣伝説」と、忍びの風魔一族の戦いが…という装束・獲物と、壮大な物語の間のミスマッチが一種独特の味わいを醸し出していました。
パラス四天王のハッスルに感応したのか、聖域で全体集会を開いているアテナの小宇宙が不意に吸われます。
集まった聖闘士全員が見ている前でふらつくアテナ。
そして倒れそうになったアテナを衆人環視の状況下で抱き留め、平然とデキてる感を醸し出してイチャつく星矢。
それを見て少なからぬショックを受けていた光牙。しかし、「これから戦うぞ!」という宣誓と結団の場で、トップがイチャつく姿を見せられたら、光牙でなくとも複雑な思いになった聖闘士がいてもおかしくはありません。
背後でネチョっているアテナ・星矢などはじめからいなかったかのように号令を下す玄武。あんまりトップと同僚がだらしないからか、風紀委員はいつしか事実上の教皇として機能しはじめます。
そういえば、教皇で思い出しましたが、旧作では牡羊座のムウの師匠はサガに殺されたシオンでした。ムウは13年間師匠が別人になったことに気づかなかったのでしょうか?
青銅聖闘士たちもパラス四天王に負けず、拳を付き合わせてこれからの戦いを誓い合います。
が、足早に去って行く素っ気ない光牙。
光牙の悶々とした気持ちにほとんど気づかない仲間たちを見ていると、何だかんだ言ってこいつらおぼこいなぁ、などと思ってしまいます。
光牙と昴は時を止められた町に行き当たります。
早速、止められた時を戻そうと雑魚を倒していると、
そこに現れたのは、いつぞやのゲスな三流パラサイト・タルヴォスでした。
憧れのお姉さんである沙織さんと星矢のいかにもデキてる感にあてられ、思春期の心を千々に乱している光牙に対し、ここぞとばかりに闇落ちなゲス文句を語りかけるタルヴォス。
今度は嫉妬で闇落ちするのか!? と、若干妙な期待をしかけた僕も含めて、昴が光牙に説教をしました。
あんな年端もいかない鋼鉄聖闘士に説教されてりゃ世話は無いのですが、なかなか熱くて良いことを昴は言うのです。…内容は忘れましたが。
そんな中、建物の中から赤ん坊が出てきます。時を止められた母に近づこうとするけなげな赤ん坊に対し、タルヴォスは金平糖の親玉みたいな武器をぶつけようとします。清々しいまでの外道っぷりと言えるでしょう。
(大人連中が時を止められている中、普通に動けている小宇宙にあふれた赤さん)
そんな赤ん坊を身を挺して庇う光牙。
赤ん坊を助けながら、その赤ん坊と自分・かつての自分と沙織さんを重ね合わせ、「そうだ、沙織さんも赤ん坊の俺をただひたすら助けたんだ」と心の迷いが晴れた(ような)光牙。
「守るべき術を持たない者のために戦う!」
「沙織さんへの思いは淡い恋心を含んだ憧れや母を乞う心なんだ!」と吹っ切れたのか、単に一時的に思考が混乱して吹っ切れたように感じているだけなのか、微妙なところではありますが、何にせよしっかり戦ってくれることは良いことです。
タルヴォスを倒し、止まっていた時を元に戻すことに成功しました。
赤さんを抱きしめながら「神様っ!」と思う母親の言葉に対し、ボソッと言った昴の一言は何気に名言でした。
「感謝する相手を間違えてるぜ。一人の赤ん坊を助けてくれる神様なんていないんだから」ただ、光牙は赤ん坊時代、アテナという神に助けられています。
そんな稀有な体験をしている奴がよりにもよって隣にいるのが残念でした。
自分は弱い者を守るために戦う、日陰者でもいい、と吹っ切れたことを言っていた光牙。沙織さんに対する感情にも整理が付いたのであればいいのですが…おじさんとしては、クソの役にも立たない上に組織のトップとしての適性にも疑問符がつきまくりの沙織さんよか、ユナとごじゃごじゃっとした仲になることを考えた方がいいと思うところです。
そして次回は瞬の登場。
闇の魔傷がなくなり、フルスペック・フルパワーで戦えるようになった瞬。
彼がアテナの集合を無視したことも含め、次回の展開が気になります。