著者の経験を踏まえ、情報のインプットからアウトプット(文章作成)まで広範囲にカバーした本。「その整理、何の役に立つの?」と常に目的を念頭に置いて考える姿勢が参考になる。情報整理を考える上でのバイブル!(crossreview)
情報整理や知的生産を「考える」教科書です!
情報整理や知的生産の方法については昔から多数の本が出版され続けています。
が、本書が類書と一番違うのは、類書が情報整理・知的生産の方法論やアイデアを提供することに力点が置かれているのに対し、各種の方法論やアイデアの目的を常に考えているところです。
平たく言うと、常に「その情報整理、何の役に立つの?」と考え、その方法論・アイデアの用途と必要性を吟味して取捨選択しているわけです。
自戒を込めて言うと、この手の情報整理・知的生産本が好きな人って、この手の本を読みあさって終わるか、ちょっとだけ実践して終わりとなるかという「情報整理本の流民」と化しがちです。そしてそうなる原因の一つが、「とりあえず一冊の本に書かれている方法論を丸ごとやってみる」というオール・オア・ナッシングでのチャレンジです。
でも本来、まずやるべきことは「その方法論は自分に必要かどうか」の検討で、この点、筆者は自身の経験(もちろん失敗や無駄になったことも含む)を踏まえた上で、恐ろしいまでにプラグマティックに情報整理術を選別しています。
ここで大事なのは著者の結論ではなく、学ぶべきは著者の思考パターンです。様々な具体例・経験を元に、自分にとっての必要性を念頭に置いて、でどうするか? と考える例として読むと、単なる情報整理術本以上のものが得られると思います。
あと、本書は情報の整理・インプットだけでなく、アウトプット(文章作成)までを広くカバーしている点も注目です。新書で具体例を盛り込みながらここまでのテーマを扱うとどうしても方法論やアイデアは薄くなりますが、ハッキリ言って必要十分です。本書に書いてあることが意識せずにできるようになってから次へ行くべきだとすら思います。
しかも親切なことに、本書は各章の終わりにまとめが付されています。内容のおさらいもしやすいですし、手っ取り早く本書の内容を掴みたい方はそこだけ拾い読みしていくのもアリです。
自分の情報整理術を作り上げている人にもそれなりに参考になるとは思います。
が、それ以上に、完璧な情報整理本を求めて「情報整理本の流民」となっているご同輩にこそこの本をオススメします!