2011年11月30日水曜日

100字紹介・2011年11月分

crossreviewというサイトで、毎日一冊のペースで本を中心としたアイテムを100字で紹介しています。
それに加え、今月からはfacebookの漫画殿堂というサービスで週1ペースで殿堂入りマンガの紹介も始めました。
今回は2011年10月分のまとめです。

採点基準 (かなり主観が入ってますので、一応の目安としてご理解下さい)

・1~5点…紹介しません。読んで欲しいものだけご紹介したいので。

・6点…「?」もあるけど一読の価値あり
・7点…面白かった!
・8点…オススメ!!
・9点…超オススメ!!!
・10点…ホームラン級の突き抜けた面白さ!!!

■2011年11月分


 ●crossreview

121
白田秀彰『インターネットの法と慣習』☆10
白田秀彰『インターネットの法と慣習
法とは何か、英米法と大陸法の違い、権利概念についての説明を踏まえインターネットの最先端の議論を骨太に展開。よくもまぁこれだけ濃い話をこの小書に詰め込んだ(しかも読みやすく!)と感嘆!絶対オススメです!
2011-11-01 23:48


122
テリー伊藤『お笑い革命日本共産党』☆7
テリー伊藤『お笑い革命日本共産党
テリー伊藤が大下英治風に日本共産党のシミュレーション小説を書いたら…という一冊。笑いながら日本共産党の歴史も詳しく…なるのかなぁ?w 172~3頁の「丸山久明不屈の落選人生!」は是非見て欲しい見開き!
2011-11-02 13:30


123
和田ラジヲ『ラブラドール・和田ラヂヲ』(1巻) ☆10
和田ラヂヲ『ラブラドール・和田ラヂヲ』(1巻)
紹介しようと思って読み直したんですが、どれもこれも面白いけど紹介のしようがない!w 設定は思いっきり不条理だけど、細かい所で無駄に論理的一貫性があるのがたまらない!w 僕のお気に入りのネタは「お願い」
2011-11-03 13:17


124
上岡龍太郎『上岡龍太郎かく語りき』 ☆7
上岡龍太郎『上岡龍太郎かく語りき
上岡龍太郎が自分の芸人人生と重ね合わせて語る上方芸能史。戦後すぐの昔の芸人さんの話を楽しめる人じゃないと読んでも今イチ退屈かも(でも最後の第8章は著者の芸人論になってるから、そこは楽しめると思います)
2011-11-04 09:08


125
武富健治『掃除当番』 ☆10
武富健治『掃除当番
武富健治の初期短編集。『鈴木先生』に繋がる表題「掃除当番」や「ポケットにナイフ」意外にも掘り出し物が。主人公が一見弱い友達を若干上から目線で心配してたけど、実は自分の方が…って構造の話に心ざわついた!
2011-11-05 10:46


126
仲正昌樹『ネット時代の反論術』 ☆9
仲正昌樹『ネット時代の反論術
ネットの不毛な「議論(のようなもの)」にうんざりした人、必読!ネット議論の現状を確認し、まともな相手とどう議論し、それ以上に変な相手をいかにあしらうか、表技・裏技をふんだんに交え実践的に紹介されてます
2011-11-06 01:15


127
パオロ・マッツァリーノ『反社会学講座』 ☆10
パオロ・マッツァリーノ『反社会学講座
文献を丹念に調査し、社会学の手法を用いて、何となくそんなもんだろうと思っていた常識を軽快にひっくり返してくれる一冊。アカデミズムとエンターテイメントを融合させた「面白い学問」! 物の見方が変わります!
2011-11-07 21:07


128
パオロ・マッツァリーノ『13歳からの反社会学』 ☆9
パオロ・マッツァリーノ『13歳からの反社会学
『反社会学講座』の頃のパオロさんが帰ってきた!内容的にはややアッサリですが、この本で注目すべきはパオロ流の問題のとらえ方と文献の調べ方。調べることの面白さが伝わってくるアカデミズム入門としても読める!
2011-11-08 12:33


129
パオロ・マッツァリーノ『パオロ・マッツァリーノの日本史漫談』 ☆10
パオロ・マッツァリーノ『パオロ・マッツァリーノの日本史漫談
「あなたが知ってる大名行列に対する土下座、それ間違いです」妙なテーマについて、文化史・庶民史を丹念に調べ、それを軽妙な語り口で紹介。目から鱗の意外な事実+知的興奮+調べることの楽しさがてんこ盛りの一冊
2011-11-09 08:41


130
大武ユキ『フットボールネーション』(2巻) ☆9
大武ユキ『フットボールネーション』(2巻)
高岡英夫の身体理論に基づくサッカーマンガ。この巻では、すぐに高岡理論を実践出来るくらいわかりやすく紹介されています!その上ストーリーからも目が離せない。縦のラインが揃ったこれからの展開が気になります!
2011-11-10 12:32


131
桂雀々『必死のパッチ』 ☆8
桂雀々『必死のパッチ
壮絶な少年時代を赤裸々に綴った雀々師匠の自叙伝。借金取りに必死に事情を説明し、取立てに来た借金取りから5千円もらうって!w 雀々師匠がこの話を結婚式でしたときに、あの上岡龍太郎が涙したという逸話付き!
2011-11-11 10:01


132
「SEGA THE BEST 街 ~運命の交差点~ 特別篇」 ☆10
SEGA THE BEST 街 ~運命の交差点~ 特別篇
サウンドノベルの最高傑作!渋谷を舞台に、キャラも設定も全くバラバラな8人の主人公達の物語が、それぞれ交錯しながら紡がれていく。関係ないようで繋がってる、その世界の全体像に感動!そして神ED曲にまた涙!
2011-11-12 20:25


133
松浪健四郎『ワルの行動学』☆8
松波健四郎『「ワル」の行動学
爆笑or唖然の二択w大胆にも人間を群れた羊とワルの二種類に分け「お前は群れた羊で良いのか?俺のようにワルにならないか?」とワルになるためのアドバイス(ベルトは毎日違う方向からさせ、など)を満載した奇書
2011-11-13 09:34


134
秋山仁『誰かに解かせたくなる算数・数学の本』 ☆9
秋山仁『誰かに解かせたくなる算数・数学の本
『皆殺しの数学』の加筆改題。大相撲千秋楽の巴戦は本当に公平なのか?コンドーム問題(乱交パーティーをするときにいかにコンドームを節約するか)などのテーマで数学をわかりやすく説明。こんな授業受けたかった!
2011-11-14 08:50


135
鈴木みそ『マンガ 化学式に強くなる』 ☆10
鈴木みそ『マンガ 化学式に強くなる
化学で覚えてたのは「六方細密充填」だけ…ホンマ高校の頃に読みたかった!完成に5年を要したらしいが、それだけに内容のわかりやすさとマンガの面白さが高レベルで両立!http://bit.ly/tQlOSB
2011-11-15 22:29


136
鈴木みそ『マンガ 物理に強くなる』 ☆10
鈴木みそ『マンガ 物理に強くなる
『化学式』から更に5年!今回も5年待っただけの完成度です。掛け値無くわかりやすいし、それ以上にマンガとして面白く読める。学習マンガの最高傑作と言って過言じゃないhttp://bit.ly/tQlOSB
2011-11-16 22:53


137
速水健朗『ケータイ小説的。』 ☆10
速水健朗『ケータイ小説的。
ケータイ小説を素材に、浜崎あゆみの歌や『NANA』、ティーンズロード以来のヤンキー文明の系譜にDVと「郊外の現代社会」の実像を浮き彫りにしていく手法が見事!ケータイ小説を楽しむ人たちのことがわかります
2011-11-17 12:28


138
岸田秀『ものぐさ精神分析』 ☆9
岸田秀『ものぐさ精神分析
「人間は本能の壊れた動物である」からはじまる岸田秀の唯幻論のエッセンスが詰まった本。個人と社会(国家)はそれぞれ後継本が出てます。この本で好きなのは太宰の『人間失格』の批判(悪口)!確かに身勝手やわw
2011-11-18 10:08


139
板垣恵介&RIN『どげせん』(1巻) ☆9
板垣恵介&RIN『どげせん』(1巻)
土下座の力を遺憾なく描く本作。一言で言うと『バキ』の世界から格闘を引いて土下座を足したようなもんです!(笑)『カイジ』に出てきた"焼き土下座"以外の土下座は全部この作品がカバーしちゃうんじゃないか!?
2011-11-19 10:19


140
RIN&板垣恵介『どげせん』(2巻) ☆9
RIN&板垣恵介『どげせん』(2巻)
どこまで土下座でボケられるかが勝負かな。白眉は「究極の暴力」。腕っ節だけでデカい顔してる奴をやり込めるのは「勝っても自分が惨めになる」ような卑劣なやり方しかない!『黒沢』のクソラー編を思い出した(笑)
2011-11-20 09:39


141
岸田秀『不惑の雑考』 ☆8
岸田秀『不惑の雑考
岸田秀初期の短文集成。一番好きなのが「くたばれ『自己実現』!」。何で無意識がわざわざ自分の輝く才能を埋もれさすんだ!抑圧して無意識下に置いてるモノはろくなモンじゃねえよ!に爆笑w 大鶴義丹の解説もイイ
2011-11-21 11:15

142
岸田秀『嫉妬の時代』☆8
岸田秀『嫉妬の時代
嫉妬をテーマにした中編論考の集成。中でも「『積木くずし』が物語る親子関係」の考察は見事!親が子供に対して負う守秘義務の点から見たら、『積木くずし』の出版って子の逃げ場を奪う一番残酷な児童虐待でしかない
2011-11-22 13:52


143
渡辺浩弐『1999年のゲーム・キッズ』(上)☆9
渡辺浩弐『1999年のゲーム・キッズ
僕が十代の頃「ファミ通」で連載されていたショート・ショート。当時の最先端技術をモチーフに書いてて、毎週むさぼり読んでた記憶があります。星新一と比較すると、SFとサイバーパンクみたい(結構足が早い印象)
2011-11-23 11:04


144
郷田マモラ『サマヨイザクラ』(上) ☆9
郷田マモラ『サマヨイザクラ』(上巻)
裁判員制度だけでなく、いじめ問題やネカフェ難民など色々なテーマが盛り込まれてて読み応え十分。秀逸なのが評議の場で互いを理解し合えてない部分。各々の発言の奥にある「語られない前提」を見るとドキッとします
2011-11-24 12:27


145
郷田マモラ『サマヨイザクラ』(下) ☆9
郷田マモラ『サマヨイザクラ』(下巻)
裁判員モノとしても面白いが後半はサスペンス色が強くなる。オッサン裁判員の「今の若者は弱すぎる」というセリフに「そういう優しくひ弱い若者が生まれる社会を作ったのはあなたたちです」と返したのには激しく納得
2011-11-25 09:13


146
香西秀信『論理病をなおす!』 ☆9
香西秀信『論理病をなおす!
レトリックの観点から論理的思考の限界と人間の思考の癖を描き出した本。香西先生の本を読むと、つくづく論理的な議論という奴は、そのルールを弁えた者の間でしか成立しない「スポーツ」なんだよな…と思わされます
2011-11-26 12:21


147
仲田紀夫・佐々木ケン『マンガ おはなし数学史』 ☆7
仲田紀夫・佐々木ケン『マンガ おはなし数学史
歴史で見る数学。「何で数学なんか勉強するの?」「数学なんて何の役に立つの?」と言ってる中高生(特に文系?)に読んで欲しい。マンガの完成度はご愛敬だけど、ある程度世界史の知識が頭に入ってれば更に楽しめる
2011-11-27 13:59


148
武田鉄矢・小山ゆう『お~い!竜馬』(1巻) ☆9
武田鉄矢・小山ゆう『お~い!竜馬』(1巻)
幼少期の竜馬のダメっぷりが「これでもか!」ってくらい描かれています。1巻の最後に少しだけ凛々しくなってきます。それにしても上士連中の陰険さは読んでて胸くそ悪くなります(これぞ小山ゆう節なんですけどw)
2011-11-28 09:09


149
武田鉄矢・小山ゆう『お~い!竜馬』(2巻) ☆9
武田鉄矢・小山ゆう『お~い!竜馬』(2巻)
天狗事件、山内容堂との出会い、そして母の死…こういうトラウマになりそうな胸くそ悪いエピソードを描かせたら小山先生は超一流ですよね(笑)。更に、幼少期の竜馬の逸話をそう解釈するか!とその上手さに感嘆です
2011-11-29 02:21


150
武田鉄矢・小山ゆう『お~い!竜馬』(3巻) ☆9
武田鉄矢・小山ゆう『お~い!竜馬』(3巻)
この『お~い!竜馬』は元々司馬遼太郎の『竜馬がゆく』の前史を描くつもりで始まったとか。それだけに竜馬の幼少期から土佐での青春期がのびのびと描かれている。この巻から竜馬がどんどん格好良くなっていきます!
2011-11-30 08:55



漫画殿堂


車田正美『聖闘士星矢』(全15巻)
車田正美『聖闘士星矢』
人生で一番はじめに読んだ漫画で、僕の漫画人生の原点です。
(ちなみに、当時小学校一年だった僕は、近所の兄ちゃんに作ってもらった段ボールのクロスを着て近所を徘徊。乞食少年と言われていました。)


浦沢尚樹・勝鹿北星・長崎尚志『MASTERキートン』
浦沢直樹・勝鹿北星・長崎尚志『MASTERキートン』
考古学や軍事の知識、その他沢山のトリビアが詰まってるけど、それらに振り回される事なく一つ一つが短編の物語として成立してる。この完成度の高さは他に類がない。最後の風呂敷の畳み方も漫画史上屈指の鮮やかさ。文句なしに浦沢直樹の最高傑作だと思います


綱本将也・ツジモト『GIANT KILLING』
綱本将也・ツジモト『GIANT KILLING』
サッカー漫画の最高傑作。何が凄いって、面白いだけじゃなく、読み終わってサッカーの試合を見るとピッチの選手がどんなことを考え、どんな目的で動いているのかの意味が分かること。サッカーの見方も教わりました!


美内すずえ『ガラスの仮面』
美内すずえ『ガラスの仮面』
演劇大河ドラマの最高峰!物語の展開も気になるが、椿姫のチケットを手に入れる為の執念、「ブタの親分かい」に才能を見出す月影先生、木になりなさい→投石→「マヤ、木がよけますか!」など名シーンの数々に爆笑!