2011年11月11日金曜日

100字紹介・2011年9月分

crossreviewというサイトで、毎日一冊のペースで本を中心としたアイテムを100字で紹介しています。
今回は2011年9月分のまとめです。

採点基準 (かなり主観が入ってますので、一応の目安としてご理解下さい)

・1~5点…紹介しません。読んで欲しいものだけご紹介したいので。

・6点…「?」もあるけど一読の価値あり
・7点…面白かった!
・8点…オススメ!!
・9点…超オススメ!!!
・10点…ホームラン級の突き抜けた面白さ!!!

■2011年9月分


60
湊かなえ『告白』☆9
湊かなえ『告白
モノローグ形式でどんどん語り手が変わり切り替わります。そして複数の主観的真実の果てに見えてくる真相。何がスゴイって、登場人物全員が変で、誰にも感情移入出来ないところ!作者は絶対根性悪いと思います(笑)
2011-09-01 09:50


61
湊かなえ『少女』☆8
湊かなえ『少女
二人の少女の視点が相互に入れ替わるモノローグ形式で、「Eve -burst error-」や「街~運命の交差点~」を思いだしました(…というのは言い過ぎ?)。作者のモノの見方や人間観は相変わらずですw
2011-09-02 08:47


62
湊かなえ『贖罪』☆8
湊かなえ『贖罪
モノローグ形式でイヤーな話を書かせたら安定してます、湊先生。よくもまぁ人間の身勝手で嫌なところをここまで露骨に書いちゃえるよな…(笑)と思うこともありますが、ついつい先が気になって読み進めちゃってます
2011-09-03 10:30


63
村上宣寛『心理テストはウソでした』☆9
村上宣寛『心理テストはウソでした
ABO式血液型別性格判断はともかく、心理テスト、ロールシャッハテストなど自動車学校でテストされるようなものですら実は科学的根拠は曖昧というのにビックリ。科学的な見た目をしたものほどご用心ってことですね
2011-09-04 07:50


64
岡田慎一郎『古武術あそび』☆9
岡田慎一郎『古武術あそび
古武術研究家・甲野善紀さんの技を介護士福祉士の著者がうまくまとめています。本の通りやってみるだけでで古武術的身体運用の感覚や「不思議さ」を感じることができます。親戚の子供とかに披露するとバカ受け必至!
2011-09-05 17:56


65
甲野善紀・荻野アンナ『古武術で毎日がラクラク!』☆9
甲野善紀・荻野アンナ『古武術で毎日がラクラク!
『古武術あそび』の大人版。本を読んでその通りやってみるだけで出来る技が収録されており、ゼロからの古武術的身体運用入門としてもオススメです!しかも日々の生活の中ですぐに使える技ばかりで実用度も高いです!
2011-09-06 08:38


66
多田容子『自分を生かす古武術の心得』☆8
多田容子『自分を生かす古武術の心得
自らの経験を通して古武術についてわかりやすく書かれています。また古武術の修行を通じて著者のモノの考え方がドンドン変わっていくのが面白い!思考というのが実は肉体や感覚に依拠していることを気付かされた一冊
2011-09-07 11:10


67
辻田りり子『笑うかのこ様』(1巻)☆8
辻田りり子『笑うかのこ様』(1巻)
友人(30代男性)のオススメで読みました(笑)。主人公はクラスの端っこで目立たない傍観者キャラ。だけど時には熱くなることも。主人公よりも興味深いのが作者の傍観者視点。傍観者ってこんな見方をしてるのか~
2011-09-08 18:52


68
辻田りり子『笑うかのこ様』(3巻)☆7
辻田りり子『笑うかのこ様』(2巻)
クラスの傍観者として人間観察を趣味とする主人公かのこ。でも最後にはかのこが鋭い「説教」をするパターンが多い。傍観者に徹しきれない熱いモノをもってるので好感は持てるけど、この構造って水戸黄門っぽいかも?
2011-09-09 07:19


69
辻田りり子『笑うかのこ様』(3巻)☆8
辻田りり子『笑うかのこ様』(3巻)
ネタの面でも設定の面でもだいぶ苦しくなってきた印象はあるけど、最後は前後編のキャンペーンで大団円。2巻ぐらいから思ってたけど、椿君いい人過ぎでしょ(笑)。かのこ、他人を観察するより自分のことを見ろ!w
2011-09-10 12:28


70
武富健治『鈴木先生』(1巻)☆10
武富健治『鈴木先生』(1巻)
中学校を舞台に巻き起こる問題の数々に、鈴木先生をはじめ登場人物たちが緻密な思考の末に答えを導き出す。冒頭の「げりみそ」の話は色んな要素が詰まってて、大人の社会でも普通に起きてることだと気づかされました
2011-09-11 08:57


71
武富健治『鈴木先生』(2巻)☆10
武富健治『鈴木先生』(2巻)
山崎先生の性癖や小川恋のさや当て事件など色々詰まってます。が、この巻で一番心に残ったのはやっぱり「@昼休み」での中村の叫び!チンピラの小賢しい手前勝手な決め打ちの理屈に対して胸すく反論をしてくれてます
2011-09-12 10:13


72
武富健治『鈴木先生』(3巻)☆9
武富健治『鈴木先生』(3巻)
「@恋の嵐」の最後は配慮とか「発言する行為がもつ意味・影響」などを考えさせられる話だったけど、その後は鈴木先生を含めて色恋に浮つきすぎ!(笑)圧巻は最後のコマと次巻予告アオリ!これは是非見てほしいっ!
2011-09-13 11:11


73
武富健治『鈴木先生』(4巻)☆10
武富健治『鈴木先生』(4巻)
この巻では性に関する突っ込んだ議論が大展開。元彼・今彼・初彼堂々揃い踏みの中で「経験率」を説く鈴木先生というある意味シュールな光景も。でも一番のシーンはやっぱりキス用のコンドームのシーンっしょ!(笑)
2011-09-14 13:12


74
鈴木先生『鈴木先生』(5巻)☆10
武富健治『鈴木先生』(5巻)
この巻の「@掃除当番」のエピソードが一番好きです。ブログでも書きましたが(http://bit.ly/mRIWeA)、普通にしてる人に負担と犠牲を強いて社会が回っているという構図はもっと意識されるべき
2011-09-15 09:36


75
鈴木先生『鈴木先生』(6巻)☆10
武富健治『鈴木先生』(6巻)
できちゃった婚について担任の生徒達から糾弾(?)される「@鈴木裁判」がエキセントリックで面白い。けど、議論の場において狭い視野から意見を言い、気づかぬうちに誰かを傷つけてるって寓意には考えさせられます
2011-09-16 00:04


76
武富健治『鈴木先生』(7巻)☆9
武富健治『鈴木先生』(7巻)
鈴木裁判遂に決着!興味深い論点ははいっぱいあるんだけど、それよりも面白いのはやはり後半の「@足子乱心」!(笑)前から怖いとは思ってたけど、改めて怖いよ、足子先生!!そして桃井先生の分析もクールすぎ!w
2011-09-17 09:40


77
武富健治『鈴木先生』(8巻)☆10
武富健治『鈴木先生』(8巻)
足子先生とスト中止の説明会の話では、議論や対話といったものが聴衆を含めた参加者の能力・意識・モラルといった脆弱な基盤に支えられた危うい営みであるかを描き出しています。後半は生徒会選挙の裏で蠢く陰謀モノ
2011-09-18 12:46


78
武富健治『鈴木先生』(9巻)☆10
武富健治『鈴木先生』(9巻)
生徒会選挙の立会演説会での西候補の発言に考えさせられます。中学校の生徒会選挙という小さい器に選挙制度や民主主義の根幹に関わるテーマを盛る過剰さが本質的なテーマを溢れさせ、読者に迫る形で提示されています
2011-09-19 08:42


79
武富健治『鈴木先生』(10巻)☆10
武富健治『鈴木先生』(10巻)
文化祭の劇が始まり、鈴木流の演劇指導に生徒のボルテージも急上昇。最後の方では鈴木先生自らが生徒達に語る形でこの作品の構造を解説し、読者が陥りそうな陥穽を鋭く指摘してます(正直、改めて読んでビビリました
2011-09-20 07:29


80
武富健治『鈴木先生』(11巻)☆10
武富健治『鈴木先生』(11巻)
遂に完結。水面下で進行していたあの事件が実行に。事件自体はセンセーショナルで、またどこか見覚えのあるような内容だったり。だけど本当に読むべきはそこへ至るプロセスなんでしょうね。さすがにちょい冗長かも?
2011-09-21 13:46


81
高橋秀実『からくり民主主義』☆10
高橋秀実『からくり民主主義
僕が筆者を知った作品。米軍基地や原発施設など問題となっている所に赴き、取材する内に双方それぞれの立場があるよなぁ…と納得。途方に暮れるというルポ。とほほ感はあるけど筆者の視点は残酷なくらいクールですw
2011-09-22 13:44


82
高橋秀実『トラウマの国ニッポン』☆9
高橋秀実『トラウマの国ニッポン
『からくり民主主義』の続編のような印象。「トラウマセラピー」や「ユーモア学校」など色んなテーマの現場に取材に訪れ、そのちょっとおかしな実態を透徹に描く短編ルポ集。前作よりもちょっと毒舌が強くなったかな
2011-09-23 10:49


83
高橋秀実『はい、泳げません』☆8
高橋秀実『はい、泳げません
泳げない筆者が自身の水泳教室通いを通して「泳ぐ」をテーマに書いたルポ。面白いのは、泳ぎについてある発見をした時に一々プールの真ん中で立っちゃうこと。地に足つけて実感を噛みしめ、より深く理解したいのねw
2011-09-24 11:21


84
高橋秀実『やせれば美人』☆8
高橋秀実『やせれば美人
筆者の妻を素材にダイエットについて書いたルポ…?「体重が重いと基礎代謝も上がる。痩せるためにはまず太らないと…」とか、読んでると途中からルポなんだか太った奥さんを使ったボケなのか分からなくなってきます
2011-09-25 10:03


85
高橋秀実『平成兵法心持。』☆7
高橋秀実『平成兵法心持。
弱小ボクシングジムの実態や緩い空気を、透徹した視点で描いたルポ。ボクシングというと『あしたのジョー』や世界チャンプの過酷な話しか一般に知られていないと思いますが、これを読むと印象が180度変わります!
2011-09-26 09:18


86
佐々木閑『ブッダ 真理のことば』(NHKテキスト 100分de名著)☆9
佐々木閑「ブッダ『真理のことば』(NHKテキスト・100分de名著)
途中少し置いてかれそうになりました(そこは番組の方がわかりやすくて良かった)。本書で示されるブッダの死生観にかなり納得、というか考え方が似てました。あと「八正道」「無明」の概念は非常に参考になりました
2011-09-27 11:12


87
武田好「マキャベリ『君主論』」(NHKテキスト 100分de名著)☆6
武田好「マキァヴェリ『君主論』(NHKテキスト・100分de名著)
「時代背景や彼の置かれた状況に鑑みると、マキャベリは決して権謀術数の権化ではないんですよ」という内容。番組の趣旨からややずれてるか。資料的価値や類書にない指摘はあるが、その分君主論の内容解説が薄く残念
2011-09-28 09:35


88
金森誠也『悪の人心掌握術』☆7
金森誠也『悪の人心掌握術
マキャヴェリの人物像と時代背景、『君主論』での主張などが手際よくまとめられています。その上、君主論の内容に関する例では古今東西の実例が引かれていて、「『君主論』講義」の名にふさわしいわかりやすさでした
2011-09-29 09:59


89
中川淳一郎『ウェブはバカと暇人のもの』☆9
中川淳一郎『ウェブはバカと暇人のもの
内容をこれほど過不足無く表したタイトルは他にないw。内田樹がネットは身体性によるブレーキがない分攻撃性に歯止めが効かないと指摘してましたが、自分を棚に上げたバカの暴走が炎上の原因なんだなぁと読後に痛感
2011-09-30 09:12