メーカーなどが他社製品をバラッバラに分解したり、製品の動作を観察したり、ソフトウェアの動作を解析するなどして、製品の構造を分析し、そこから製造方法や動作原理、設計図、ソースコードなどを調査する事です。
映画などの映像作品にもこのリバースエンジニアリングをすることで構造が分析でき、一度これをやっておくと物の見方が変わる、という話を聞きつけました。
1分1行のペースで何があったのかをノートにつけていくと作り手の考えていることがよくわかるそうです。
僕もやってみました。
深夜、広い洋館の庭を赤いヌンチャクを持ったセーラー服の女性が身構えながら半身で歩いている。
その女に、迷彩服に迷彩柄のキャップをかぶったコマンド二人が襲いかかる。女はヌンチャクで二人を撃退。
「ちくしょう、なんだってんだい!」
そうつぶやくと女は左右に一度ずつ唾を吐く。
と、唾を吐いた足下がアップになり、そこに突然上から革の鞭のようなものが飛んできて右足首に巻き付いた。
足を引っ張られて転倒する女。そこに、木の上から飛び降りてくる三人目のコマンド。女に馬乗りになって首を鞭の柄で押さえつける。
「どけよ、この野郎!」
と言っていた女だが、首筋にナイフを突きつけられると、
「ひーっ、お願い! 助けてーっ!」
と悲鳴を上げる。
シーンはその様子をモニターで見ている会議室に移る。
旧式のパソコン、ラブホテルの枕元のパネルのような操作パネル(しかも、ボタンが赤・青・緑・黄色とカラフルになってるのが今見るとトホホなハイテック感を醸し出している)、そしてそれを操作する蟹江敬三。
「止めろ! 見るに堪えん」
蟹江にそう言って映像を止めさせたのは、レイバンをかけた長門裕之。そう、かの有名な「暗闇司令」だ。
「あれで、シミュレーションテストBランクか…」
奥の雑魚幹部の発言。
「はい。一応、二人の男を倒していますが」
答える蟹江。
「今まで見てきた5人の候補、全てBかCじゃないか」
「少し厳しすぎるんじゃないのか? 君の組織のエージェント相手に一人で戦うというのは」
雑魚幹部1の後を受け、雑魚幹部2が蟹江に苦言を呈する。
ここで、暗闇司令が発言。
「残念ながら、このシミュレーションテストは麻宮サキのデータを元にプログラミングされたものだ」
「ということは、このテストをクリアしなければ、麻宮サキと同じ実力はない、ということを意味しますな」
雑魚幹部1が理解を示す発言。
「今更ながら、麻宮サキを失ったことが悔やまれますな。やはりスケバン刑事は麻宮サキだけで終わりなのか…」
続く雑魚幹部2の発言で、「スケバン刑事1」のラスト、麻宮サキが生死不明になっていることがさりげなく説明される。
「実はもう一人、面白い人物がいるのですが…」
「ん!?」
「見せてみろ」
蟹江の発言に興味を示す雑魚幹部1と暗闇司令。
「…はい」
蟹江は低く返事をすると、おもむろに手元の機械のボタンを押す。
すると、会議室のモニターに画像が映り(ただし、この画像は画面には映り込んでいない。カメラ位置がちょうど会議室のモニターを背にする形であると思って下さい)、それを見た雑魚幹部1&2は驚いて立ち上がる。
「何だこれは!?」
雑魚幹部1の発言。一体何が映っているのか?
「…五代陽子。またの名を、スケバン鉄仮面」
真面目に言い切る蟹江敬三。
「スケバン鉄仮面?」
雑魚幹部2がもっともな質問。
「身長160cm、体重49kg、バスト80cm、ウエスト56cm、ヒップ82cm…ゲリラ戦法を得意として、四国全体のスケバングループから恐れられている存在だそうです」
テクノサウンドのBGMに合わせて聞き捨てならないことをいう蟹江。
「この鉄仮面では、怖がるのも無理はないな…」
雑魚幹部1がズレた感想。
蟹江がさらに説明する。
「そのことなんですが…実はこの娘、幼い頃から鉄仮面をかぶせられ、小学校・中学校・高校と仮面のまま通学していたとか」
「バカな! 我が国の教育機関がそんなことを許すはずがない!」
雑魚幹部2、ここでまさかの正論。
「この娘が通っている土佐青柳高校、鎌倉の老人の息がかかっているとしましたら…」
「鎌倉の老人の!?」
効果音と共に驚く雑魚幹部2。
「麻宮サキ無き後、全国各地の高校が異常なほどの荒廃の仕方を見せている。そしてその荒廃がある巨大な力によって引き起こされていることを我々は掴んでいる。もしその力の背後に、鎌倉の老人がいるとしたら…」
暗闇司令の説明ゼリフに黙る雑魚幹部1・2と蟹江。緊迫のBGMがシーンを支える。
「…面白い。この鉄仮面、連れてきてみろ」
「君、本気か!?」
暗闇司令の決断に雑魚幹部1が取り乱す。
「相手は鎌倉だぞ」
「その娘だけはやめろ!」
しかし、雑魚幹部1と2を素無視して暗闇司令は蟹江に命令する。
「西脇、手はずは整っているな?」
「はい」
「よし、三日以内だ。三日以内にこの鉄仮面、連れてこい」
暗闇司令の命令に、黙って頭を下げる西脇(蟹江)。
(スケバン鉄仮面…面白い収穫になるかもしれん!)
でっかいレイバンの長門裕之のアップに独白が被さってこのシーンは終了。
…ふう。
「スケバン刑事Ⅱ 少女鉄仮面伝説」の第一話の冒頭です。
1分1行のはずが、気がついたらガチ起こししてました。
ここまででちょうど4分。濃いよ、濃すぎるよ!!
ちょっと作品の濃さに引きずられないように、分量を守るところから始めないといけないなぁ…orz
(付記)
ちなみにこの後、件の洋館に連れてこられたスケバン鉄仮面は、蟹江敬三の投げた超合金のヨーヨーで鉄仮面を割られます。そして、割れた鉄仮面の中からサラッサラの髪が風になびき、少しまぶしげな目つきをした南野陽子が出てきます。
「風…生まれて初めて、頬に風が当たっちゅう…」
このシーンは「12年間鉄仮面をかぶってたら、顔や髪が汚くなってるだろう」というツッコミを消すための説明として入れたシーンだそうですが、説明になってないし!w
そして、洋館に監禁された後、南野陽子は10人のコマンドと戦うこととなり、全員を倒します。その後、暗闇司令の元に乗り込んできた南野陽子は、自分の父と鉄仮面をかぶせられた秘密をさぐるため、二代目スケバン刑事・麻宮サキを襲名します。
二話以降もとんでもない展開が目白押しなんで、興味のある方は是非DVDを借りるなりしてご覧になって下さい。