2011年7月26日火曜日

お経の正体?

以前、友人の佐倉純さんに大栗道榮『図説 「理趣教」入門』(すずき出版)という本をお借りしていたことがあります。

大栗道榮『図説「理趣経」入門』

理趣教といえば、室町時代に曲解されて「真言宗立川流」が生まれちゃったりして、その真言宗立川流は江戸時代に邪教認定されて潰された…といういわくがあったりします。

理趣教自体に対する誤解はこの本を読んで解けたんですが、僕はこれを読むまで、お経って仏教の理屈ばっかりが書いてある理論書だと読みもしないで勝手に思い込んでました。
でも、読んでみるとお経って「仏のライブ講義・実況中継」なんですね。

この理趣教では、まずビッグネームの大毘盧遮那仏や大日如来がつかみに「誰でも仏になれるよ!」と話し、だんだん曼荼羅の外側にいらっしゃる菩薩→明王→天と移るにつれて具体的なメソッドを語るようになる。何かこの辺、実力のないヤツは実力の不足をコンテンツ(具体的に役立つメソッド)で補う手法なのかな、などと仏罰必定なことを考えながら読み進めてました。
そして最後は天が「俺たちにも仏性があるんだ!」みたいな「使用者の声がゾクゾクと…」を寄せていて、失礼ながら思わず笑ってしまいました。
(天って、元々ヒンズー教の神様で、仏教に取り入れられたときに仏教を守護するガードマン的な位置づけになってるんです)

現状分析・動機付け・引き
具体的メソッドの紹介
使用者の歓喜の声

って、ビジネス書の構成やテレビションピングのCMそのまんまなんですよね。
しかもそれが、僕が高校時代に出版され始めた語学春秋社の「実況中継シリーズ」という大学受験の参考書のパッケージングでまとめられているわけです。
何だ、こういうメソッドって2000年以上も前に既に出来てたんだ、と妙なところで人類の英知に感動しちゃいました。

著者の語りかけるような文章は読みやすく、お経の内容自体もわかりやすく書いてあったんですが、途中からそんなことばっかり気になって中身が全然頭に入ってきませんでした…orz