2013年11月13日水曜日

[紹介] 夢枕獏・岡野玲子『陰陽師』(7巻)

真葛と菅公(菅原道真)の囲碁対決では真葛が怨霊となっている菅公を救おうとする。しかし菅公の狙いは別に…。内裏歌合せで歌を読み間違える博雅。逸話の多い博雅を主人公の一人に選んだ上手さがここでも光っている。(crossreview

■菅公 女房歌合わせを賭けて囲碁に敵らむ

 この巻では、囲碁が一つのモチーフになっています。囲碁はゲームであると同時に、宇宙・天体を表すものであり、占いや呪術にもなりうるものであり、白黒の碁石にしたってそれが陰陽を表したりするわけです。実際、晴明の家にいる少女・真葛が陰陽の資料を見ながら碁盤をいじくっているときに、偶然菅公(菅原道真)の怨霊を捕まえてしまいます。
 ちょうどその頃、内裏では歌合せが開かれることになり、源博雅は右方の講師(歌人が作った歌を読み上げる役)を務めることに。ちなみに、このときの歌合せは歴史に残る大規模な者であったが、よりにもよってこのときに博雅は歌の順番を間違えてしまいます。…実はこれも実際にあった話だったりします。
 本作で有名になった源博雅ですが、このように何だかんだと沢山の逸話が残っている人で、本作で晴明の活躍が光るのも、博雅がいてのことだと改めて思わされました。


 本作は、連載当初から全12巻を予定されており、途中スコラ社が倒産するという憂き目に遭いながらも版元を移籍し、最後は1巻足が出て全13巻で完結しています。
 一応最後まで全部買い揃え、読みはしたのですが、8巻以降になるとそれまでのわかりやすい「平安怪異謎解き絵巻」から訳の分からない抽象的な世界に移行していき、正直ついていけなくなりました。幻想的な絵と頭にもやがかかったような進行…11巻だかで古代エジプトが出てきた辺りで「ごめん、もう無理ッ!」となりました。
 ということで、私にとって本作は、本巻を以て「俺最終回」を迎えたこととし、続刊は売っちゃいました。