2011年6月29日、NHKクローズアップ現代でドナルド・キーンが日本に帰化することを取り上げ、インタビューをしてました。
ドナルド・キーンという名を聞いて思い出すのは、昔、人から聞いた話です(真偽のほどは不明です)。
一つ目は、まず御堂筋にある芭蕉の碑の話。
昔、キーンが某作家と御堂筋を歩いていたとき、キーンが某作家に対して、不意にこんなことを言いました。
「確かこの辺に芭蕉の碑があったはずです」
この某作家はキーンにこう言われてビックリしました。
某作家は大阪生まれの大阪育ち、御堂筋は庭みたいなもんで、しかも歴史小説を書いているのでそういう知識には詳しいつもりです。
「え? キーンさん、何言ってるんですか? 適塾の碑の間違いじゃないんですか?」
そう問い返す某作家に対してキーンは言い返します。
「いやいや、絶対この辺にあったはずですよ!」
キーンはそう言うと、歩道の植え込みを調べ始めました。
キーンが碑を探す姿を「そんなもん聞いたこともないぞ。キーンさんの勘違いだろう…」と思いながら見つめていた某作家は、その考えを改めさせられます。
芭蕉碑があったんです!
今は近辺の歩道の案内に、芭蕉碑の案内が出ているんですが、そんなの無かった頃の話です。
どんだけ日本文化に詳しいねん! ですよ(笑)。
あーちなみに、その某作家とは司馬遼太郎です(笑)。
司馬遼太郎が知らんようなマニアックな石碑を知ってたという、キーンの日本文化フリークを表すような逸話で、僕の大好きな話です。
そして、もう一つ。個人的に思い出すのは「太宰治からのバトン」です。
昔、太宰があるパーティーか会合だかで歓談しているところに、短髪の成年が近づいてきてこう言い放ちました。
「私はあなたが、大っ嫌いだ!!!」
わざわざそんなこと言わんでも…と平和主義者の僕なんかは思っちゃいますが、のっけから無礼なことを放言したこの成年、名を平岡公威といいます。
…そうです、三島由紀夫です(笑)。
で、それから程なくして、太宰は玉川上水で山崎富栄と共に入水自殺しました。
さて、その三島由紀夫が最高傑作との呼び声も高い『豊穣の海』四部作を書き上げたパーティーの席でのこと。
キーンが三島に言うわけですね。
「いやー『豊穣の海』は本当にすばらしい。まさに最高傑作ですね!
こんなすばらしい作品を書いちゃったら、もう後は死ぬしか無いじゃないですか(笑)」
もちろん、キーンはジョークで言ったんですけど、それに対して三島は不敵な笑みを浮かべてこう答えたそうです。
「じゃあ……死にますか。(ニヤッ」
三島が市ヶ谷の駐屯所で割腹自殺をしたのはそれからまもなくの事だとか…。
今、キーンは正岡子規の評伝を書いているそうです。
その評伝が書き上がったとき、
キーンに意味深なことを言ったら…((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル
だ、ダメですよ!
キーンさんに変なこと言っちゃあ!!!!!