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2012年6月14日木曜日

[紹介] 加藤恭子『言葉でたたかう技術』

加藤恭子『言葉でたたかう技術』

内容は、「戦後留学苦学生奮闘記+異文化間における価値観・前提の違い(本当の相互理解)の指摘+言葉で戦うことの重要性を訴える」です。最後の、日本式と欧米式の二刀流で情報発信していこうという主張に賛成。(crossreview

タイトルからするとディベート術みたいに思えます。
が、内容は、
(1)戦後すぐの留学苦学生奮闘記
と、
(2)その経験から得た異文化間における価値観・前提の違い(本当の相互理解)の指摘
そして、
(3)言葉で戦うことの重要性を訴える
です。

本書の中で、お互い譲り合って妥結点を模索する日本人の発想と、お互い主張をぶつけ合い、そのパワーバランスの中に妥結点を見出す欧米人(そしておそらく中国や韓国なども)の違いが指摘されています。そして著者は対内・対外でこの思考様式を使い分ける「二刀流」をすすめています。
確かに、国際社会の場においては譲歩した分相手は踏み込んできますから、国外ではそういう理屈で動いているのだということを理解し、対外的には欧米式で振る舞うべきでしょうね。
「相手に合わせる」とは、相手の顔色に自分の態度を合わせていくことではなく、相手の思考様式に合わせるということです。しかし、日本の外交を見ていると、どうもこの辺に「相手に合わせる=自己主張を抑える」という変な誤解があるように思えてなりません。