昔読んだ小谷野敦『バカのための読書術』で面白い指摘かありました。
「歴史」は、大きく二つにカテゴライズすると以下のようになります(119頁)。
A.藤原道長の栄華とか、信長、秀吉、家康とか、有名人、つまり政治家や軍人を中心とした歴史。
B.中世の民集はどういう生活をしていたか、人口変動はどうだったか、といった民衆史。
Aはいわゆる血湧き肉躍る歴史の物語です。
これに対し、Bはマルクス主義史学といわれるものの方法で、正直あまり面白くないわけです。
そして、大学ではBの方が研究の中心となっているので、小谷野氏が指摘するように、
だから、中学・高校時代に、司馬(遼太郎・引用者注)や梅原猛を読んで「歴史ファン」になった者が大学の史学科などへ入ると、往々にして、民衆の暮らしに関する古文書を読まされたりして、信長も秀吉も出てこないので失望したりする。
ことになります。
実際、僕の友人にも、スーパーファミコンの「信長の野望 武将風雲録」から歴史にハマり、大学の史学科に入った奴がいるのですが、中世日本の海運・流通なんかを研究させられてボヤいていた奴がいます(笑)。
でも最近、実は歴史のAとBはそんなに別々のものではないと思わされる作品に出会いました。