2013年5月6日月曜日

[紹介] 架神恭介・辰巳一世『よいこの君主論』

目立小学校5年3組で繰り広げられる権力闘争。ひろしくんは『君主論』を武器に、覇権を握ることができるか!?設定だけで勝ちが約束されたイロモノのようだが、案外『君主論』の理解がしっかりしている良質の入門書。(crossreview

 目立小学校5年3組で繰り広げられる権力闘争。その覇権を握るべく、マキャベリの『君主論』を武器に、権謀術数の舞台に身を投じるひろしくん。ひろしくんは5年3組の覇王となれるか?

 もうアイデア思いついた時点で勝ちですよ! 権謀術数の書『君主論』と、小学校5年生のクラスの覇権ですから、これ以上無い落差です。
 が、イロモノと笑うなかれ。著者らは『君主論』のエッセンスを自家薬籠中のものとし、その理解を小学校の学級という舞台設定の中で生かし切っています。モデルが小学校だけにエピソード自体はしょぼいのですが、ちゃんと『君主論』の教えとリンクしており、『君主論』入門としての出来は侮れません。
 設定や挿絵、本文のエピソードのギャグが光るのも、しっかりした『君主論』の理解という土台があるからこそ。本書は、もちろんギャグのクオリティも高く、全編通して笑えますが、笑いながらいつの間にか『君主論』のエッセンスが理解できているという、もの凄くクオリティの高い入門書です。

 5年3組のクラスでの出来事と対話形式の解説という構成になっていて、それが全22章とエピローグという細かい章立てになっており、物語がサクサク進んで読みやすいです。
 『君主論』を読んだことのある人にも、ない人にもオススメできる一冊です!

※本書に関しては、解説は最後に読んで下さい。