2012年1月31日火曜日

100字紹介・2012年1月分

crossreviewというサイトで、毎日一冊のペースで本を中心としたアイテムを100字で紹介しています。
今回は2012年1月分のまとめです。

採点基準 (かなり主観が入ってますので、一応の目安としてご理解下さい)

・1~5点…紹介しません。読んで欲しいものだけご紹介したいので。

・6点…「?」もあるけど一読の価値あり
・7点…面白かった!
・8点…オススメ!!
・9点…超オススメ!!!
・10点…ホームラン級の突き抜けた面白さ!!!
182
鯨統一郎『邪馬台国はどこですか?』☆10
鯨統一郎『邪馬台国はどこですか?』
邪馬台国は東北にあった、などあっと驚く説が繰り広げられる歴史ミステリー短編集。史料の見方や着眼点が斬新かつ独特、だけど説得的。トリッキーな部分も含めて論理展開が上手い!時間を忘れて読み耽ること請け合い
2012-01-01 12:29


183
井沢元彦『忠臣蔵・元禄十五年の反逆』☆9
井沢元彦『忠臣蔵 元禄十五年の反逆』
忠臣蔵の真相をモチーフに、昭和63年頃の研究成果を元に書かれた井沢元彦らしい小説。僕の中で忠臣蔵の見方ががらっと変わった一冊で、現在歴史を扱う番組などで言われていることはだいたい本作で言及されています
2012-01-02 18:38


184
鯨統一郎『とんち探偵・一休さん 金閣寺に密室(ひそかむろ)』☆8
鯨統一郎『とんち探偵・一休さん 金閣寺に密室(ひそかむろ)』
金閣寺での密室殺人、探偵は一休さん。意表を突く設定だけでなく井沢元彦『天皇になろうとした将軍』で扱われたテーマが盛り込まれ歴史ミステリーにもなっている。一休さんのとんち話も事件の真相に繋がってて凄い!
2012-01-03 15:03


185
高木彬光『白昼の死角』☆9
高木彬光『白昼の死角』
戦後を騒がせた学生高利貸し事件「光クラブ事件」が前半のモチーフ。その生き残り・鶴岡七郎は、天才的知能犯として手形パクリをはじめとする経済犯罪で暗躍する。足がつかないよう毎回手口を変えるところにシビれる
2012-01-04 09:22


186
升田幸三『名人に香車を引いた男』(中公文庫)☆8
升田幸三『名人に香車を引いた男』
升田幸三実力制四代名人の自伝。有名な母の物差しの話や木村義雄十四代名人・大山康晴十五代名人との激闘、陣屋事件など波瀾万丈のエピソードかてんこ盛り。GHQに呼出を受け、そこで好き放題言った話は痛快すぎ!
2012-01-05 11:17


187
高畑京一郎『タイム・リープ』(上)☆10
高畑京一郎『タイム・リープ』(上)
タイムリープジャンルの古典的傑作。『時をかける少女』とこれは外せんでしょう。時間を跳躍するため、読み手には断片的な情報しか与えられないが、最後に真相と一緒に全てが繋がったときのカタルシスがたまらない!
2012-01-06 09:52


188
高畑京一郎『タイム・リープ』(下)☆10
高畑京一郎『タイム・リープ』(下)
次第にタイムリープした理由が判明し、その真相に翔香は愕然とする…。「YU-NO」や「CROSS†CHANNEL」を薦められない人に普及するため、これを薦めてます…ってか最初からこっち薦めろよ、俺(笑)
2012-01-07 11:07



189
冲方丁『天地明察』☆9
冲方丁『天地明察』
算術に魅了された碁打ち・春海(安井算哲)が、新暦を作るプロジェクトX。はじめこそ頼りない主人公だけど、周りの人たちに助けられ支えられながらその人達の思いを受け継ぎ、ふてぶてしいまでに成長する姿に胸熱!
2012-01-08 11:22


190
鯨統一郎『とんち探偵・一休さん 謎解き道中』☆9
鯨統一郎『とんち探偵・一休さん 謎解き道中』
『金閣寺に密室』の続編短編集。今度はロードムービー的短編集で、行く先々で事件が起きる。毎回毎回トリックと一休とんち話が必ず入ってるという縛りの上に、最後に前作からの振りもまとめて全部繋がる手腕に脱帽!
2012-01-09 10:38


191
清水義範『バールのようなもの』☆8
清水義範『バールのようなもの』
表題作の短編パスティーシュが傑作!犯罪報道でよく言われる「バールのようなもの」を入手しようとホームセンターに行くが、店員に「バールじゃダメなんですか?バールならあるんですが…」と言われるところに爆笑!
2012-01-10 07:17


192
内田樹『日本辺境論』☆9
内田樹『日本辺境論』
華夷秩序的価値観に基づく「辺境」人としての日本人の特質を論じている。「既に公表されている知見をまとめたもの」だが、著者自身のまとめ本にもなっている。4章のコミュニケーションの特質についての指摘は卓見!
2012-01-11 08:40


193
坂村健『痛快!コンピュータ学』☆9
坂村健『痛快!コンピュータ学』
大学の情報処理論履修後に読み「先に読んどけば…」と激しく後悔した一冊。とにかくわかりやすい!最後にTRONの話になるが、文化に配慮する技術者(文化のための技術)という著者の姿勢に感動。ファンになった!
2012-01-12 21:45


194
☆6
景山民夫『LIFE IS A CARNIVAL―極楽なんでも相談室』
一言で言えば、中島らもの明るい悩み相談室・景山民夫版。らもさんのに比べるとどうしても切れ味は落ちるか。面白いのは最後の逆質問。景山の相談に答えているらもさんをはじめ各人の解答が皮肉にも本編より面白い!
2012-01-13 10:17


195
清水義範『江勢物語』☆8
清水義範『江勢物語』
清水義範のパスティーシュ短編集。表題作の「江勢物語」は、古文の変な現代語訳をパロディにしたもの。歌物語の訳なので本文中に歌があるが、中でも「この味が良いねと君は言ったけど六月十日は時の記念日」に爆笑!
2012-01-14 09:45


196
さくら剛『感じる科学』 ☆9
さくら剛『感じる科学』
主に物理の主要トピックを、身も蓋もない喩えと一緒にわかりやすく説明。『三国志男』の著者ならではの文体で、同世代の僕にはツボ表現満載!面白げに書かれた本は数あるが、ここまで本気で面白いモノってなかった!
2012-01-15 09:01


197
清水義範『蕎麦ときしめん』☆10
清水義範『蕎麦ときしめん』
表題作が面白すぎて、僕の名古屋観(偏見)はがっつり固まってしまいましたw 司馬遼太郎の文体で『さるかに合戦』を書いた「猿蟹の賦」もオススメ! 蟹の長男・蟹平の大村益次郎然とした佇まいがたまらないですw
2012-01-16 09:18


198
橋本治『これで古典がよくわかる』☆9
橋本治『これで古典がよくわかる』
古典よりも日本語(特に表記)の歴史について、橋本節でねちっこく丹念に書かれた本。これですぐ古典の授業がわかるようにはならないだろうけど、古典を学ぶ上で必要な、それ以上の文化的教養が身につく。オススメ!
2012-01-17 23:02


199
清水義範『国語入試問題必勝法』☆10
清水義範『国語入試問題必勝法』
表題作の短編を初めて読んだときの衝撃は忘れられません。パスティーシュだから内容は鵜呑みにしちゃダメだけど、国語という科目は塾や予備校でしか解法・ルールを教えてくれないという摩訶不思議な科目なんですよね
2012-01-18 12:52


200
橋本治『ちゃんと話すための敬語の本』☆9
橋本治『ちゃんと話すための敬語の本』
日本語の敬語や敬意表現について、日本の文化的な構造から解き明かす本。敬語のマインドについて橋本節で丁寧に説明してくれてます。これでビジネス敬語が身につく訳じゃないけど、骨太の理解を得るためにはオススメ
2012-01-19 09:24


201
橋本治『「わからない」という方法』☆10
橋本治『「わからない」という方法』
「わからない」という感覚を持ち続けることの重要性と、それにより知を活性化するメカニズムと方法(”知の持久戦”)を、ねちっこすぎるくらい丁寧な橋本節で説明。「私の身体は頭が良い」と手に考えさせるのは至言
2012-01-20 09:15


202
浅野直樹・榎吉郁夫『現代文 キーワード読解』☆9
浅野直樹・榎吉郁夫『現代文 キーワード読解』
大学入試現代文の参考書としては完成度が高い。評論を読みたい大人の基礎のおさらいにも。佐藤優が『国家の謀略』で、旺文社の『理解しやすい政治・経済』を参考書として薦めてたが、それの評論・思想版と言えるかも
2012-01-21 12:54


203
内田樹『下流志向』☆10
内田樹『下流志向』
教育と労働が共に経済合理性では説明できない原理で動いていることが説明されていて目から鱗!「不快という貨幣」による教育現場での「取引」や、無時間モデルで反応・成果を要求する現代的な価値観に再考を迫られた
2012-01-22 13:13


204
土屋賢二『われ大いに笑う、ゆえにわれ笑う』☆10
土屋賢二『われ大いに笑う、ゆえにわれ笑う』
僕が初めて読んだ土屋先生のエッセイ。電車で読んでて笑いを堪えるのが大変でした。普段当然すぎて考えもしない所から混ぜっ返す手法が永井均のいう「哲学」的。好きなのは助手との対話。ザッツ・不毛な会話!(笑)
2012-01-23 09:52


205
浅野典夫『ものがたり宗教史』 ☆9
浅野典夫『ものがたり宗教史』
個人的には池上彰よりオススメ!読み口はあっさりだけど、キリスト教・イスラム教・仏教についての基礎知識がわかりやすくまとまっている。僕もこんな授業が受けたかった→ http://bit.ly/yeuk4
2012-01-24 22:21


206
名越康文『毎日トクしている人の秘密』☆9
名越康文『毎日トクしている人の秘密』
毎日心を上機嫌に保つためのヒントだけでなく、著者自身の人生・交流を通じて得た気づきなどもふんだんに盛り込まれた、まさに名越康文のエッセンスが詰まった本。著者の人柄が滲み出た優しい語り口だが、内容は深い
2012-01-25 13:07


207
P.コラム『北欧神話』☆7
P・コラム『北欧神話』
『銀英伝』に出てくる「惑星オーディン」「旗艦ブリュンヒルト」「作戦名ラグナロック」などの語源を知るために読みました(笑)。首飾りを欲しがったために夫に去られたフレイヤの話に『金色夜叉』の源流を見た!w
2012-01-26 09:53


208
掛谷英紀『学者のウソ』☆7
掛谷英紀『学者のウソ』
文系・理系を問わず、学問的な裏付けのありそうな話を検証・批判する前半は読み応えアリ。最後で「学者のウソ」をなくす言論責任制度を提唱。意欲的な試みだが、言論が正しかったかの判断をどうするのかは難しそう…
2012-01-27 08:57


209
小室直樹『日本人のための憲法原論』☆10
小室直樹『日本人のための憲法原論』
『痛快!憲法学』改題。講義形式なので読みやすい。公民の授業では教わらない「憲法とは何か」について骨太の理解が得られます。著者の博覧強記・知の化け物っぷりに圧倒される。小室直樹のエッセンスが詰まった名著
2012-01-28 11:20


210
鯨統一郎『九つの殺人メルヘン』☆8
鯨統一郎『九つの殺人メルヘン』
メルヘンを研究するお嬢様女子大生が、童話の新解釈になぞらえ迷宮入りの事件を解決するミステリ短編集。童話の新解釈と、有栖川有栖が提示した九つのアリバイ崩しのパターンを絡めて作品を成立させてます。オススメ
2012-01-29 11:24


211
ちきりん『自分のアタマで考えよう』☆9
ちきりん『自分のアタマで考えよう』
有名ブロガーの著者が資料の見方・扱い方や自身のモノの考え方について開陳した本。卓見は「『知っている』と『考える』は全く別物」という指摘。頭良くしようとインプット(読書)ばかりしてる人は耳が痛いはず(笑
2012-01-30 09:11


212
鯨統一郎『なみだ研究所へようこそ!』☆9
鯨統一郎『なみだ研究所へようこそ!』
ちょいロリ属性の不思議ちゃんが、とぼけたことを言いつつも患者の心の悩みを当てて病を治してしまう。メンタル・クリニックを舞台に、精神分析やサイコセラピーの知識を使ったミステリ。鯨統一郎は作品の幅が広い!
2012-01-31 22:03